出版社内容情報
ジャーナリズムに新風を吹き込んだ〈クローズアップ現代〉。自分の言葉で問いかけ続けたキャスターが挑戦の日々を語る。
内容説明
今という時代を映す鏡でありたい―。従来のニュース番組とは一線を画し、日本のジャーナリズムに新しい風を吹き込んだ“クローズアップ現代”。番組スタッフたちの熱き思いとともに、真摯に、そして果敢に、自分の言葉で世に問いかけ続けてきたキャスターが、二三年にわたる挑戦の日々を語る。
目次
ハルバースタムの警告
自分へのリベンジ
クローズアップ現代
キャスターの役割
試写という戦場
前説とゲストトーク
インタビューの仕事
問い続けること
失った信頼
変わりゆく時代のなかで
クローズアップ現代の23年を終えて
著者等紹介
国谷裕子[クニヤヒロコ]
大阪府生まれ。1979年、米国ブラウン大学卒業。1981年、NHK総合“7時のニュース”英語放送の翻訳・アナウンスを担当。1987年からキャスターとしてNHK・BS“ワールドニュース”、“世界を読む”などの番組を担当。1993年から2016年までNHK総合“クローズアップ現代”のキャスターを務める。1998年放送ウーマン賞’97、2002年菊池寛賞(国谷裕子と「クローズアップ現代」制作スタッフ)、2011年日本記者クラブ賞、2016年ギャラクシー賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
413
2016年3月17日を最後にNHKの「クローズアップ現代」が23年の幕を閉じた。それは、この日を境にNHK中枢が真の意味での報道の中立性を捨て、体制に飲み込まれていったということの証でもあった。この間、ずっとキャスターとして番組製作スタッフと視聴者を繋ぐ役割を果たしてきたのが国谷裕子さんである。彼女がNHKの職員ではなく、契約スタッフであったことは本書を読むまで知らなかった。「出家詐欺報道」事件も、それを利用して彼女を陥れる罠であったかのようである。まさに報道の良心が消えてゆくようで残念でならない。2017/03/07
鉄之助
270
NHK「クローズアップ現代」の初代キャスターを23年務めた国谷裕子の、「自分の言葉」を磨き続けた挑戦の記録。国谷は、アナウンサーでも、NHK職員でもなく、毎年NHKと出演者契約を結んでいたフリーのキャスターだった。週に4日の放送とはいえ、よく23年も続いたものだ、という驚きがまず第一印象。TVは「映像が第一」と思われていたところを、「映像の背景に何があるかを言葉で探ろうとした」。ニュースもバラエティも今、「わかりやすさ」を追いかけ過ぎてはいないか? 現代ジャーナリズムの危うさが、浮き彫りに!2019/08/31
kinkin
119
2016年まで約23年にわたって放送された番組のキャスター国谷裕子さん。彼女がキャスターになった経緯と以降の仕事に対する取り組み方、課題など。好きな番組で気になるテーマの時はできるだけ見るようにしていた。30分の生番組でテーマの紹介とゲストとの対話はかなりハードだったのではないかと思う。テレビ報道の「わかりやすさ」が時として物事の単純化、イエスかノーかといった結論ありきの展開になりがちだ。それが視聴者にとって「わかりやすい」ものだけしか興味を持てなくなるといった危うさ。という言葉が印象に残った。図書館本。2017/03/04
あすなろ
115
23年間追い求めたものは、自分で考え、つながり、動く。暗いつぶやきから希望が生まれる。そんな姿だった。僕は、クローズアップ現代をそんなに熱心に見てこなかった。正確に言うと、放映時間は仕事で観れなかった。しかし、バブル崩壊後の失われた20年の暗いつぶやきを照らし続けた番組に敬意をこの本を読み、抱くのである。ただ、結末の事件は返す返すも残念である。その他、今後の報道のしにくさを示唆している記述に暗鬱たるものを感じた。2017/10/02
佐島楓
82
NHK「クローズアップ現代」のキャスターを長年務められた国谷さんの闘いの記録(エッセイだけれど、こういう印象を受けたので)。特に近年のテレビの報道の在り方に一石を投じていらっしゃることや、インタビューにおいてのご自身の姿勢に学ぶところが多かった。マスコミ志望の方に特に読んでいただきたいと思う。2017/01/26