目次
第1章 芸術への回帰
第2章 グローバルイメージの時代
第3章 創造性とは何か
第4章 近隣の発見
第5章 歴史のイメージ
第6章 文化としての色
第7章 文字の創造
読書の美しさについて
著者等紹介
港千尋[ミナトチヒロ]
1960年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中にガセイ南米研修基金を受け、南米各国に長期滞在。1985年よりパリを拠点に写真家・批評家として幅広く活動。現在、多摩美術大学教授。写真展「市民の色chromatic citizen」で第31回伊奈信男賞受賞。2007年、ヴェネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナー。主な著書に、『記憶』(講談社選書メチエ、サントリー学芸賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
12
彫像やアクセサリーは動産、動産芸術だという(53頁)。こうした目でとらえたことがなかったので新鮮であった(53頁)。暗さの文化。暗さの価値(134頁)。光害ということばもあるぐらいだ。当方の夜空は、星が見えるので暗さの価値あってこそ、明るさが際立つと理解している。色の社会史。色彩の価値は社会が見出すとのこと(156頁)。終章は「読書の美しさについて」。音読機会が極端に少なくなった(190頁)。音読もたまにはしてみると別の発見もあるかも。「読書は幸せをもたらす」(201頁)。至福の読書。自己満足→価値共有。2013/09/14
多聞
8
文系と理系の間に存在する溝の存在に疑問を抱いた著者が、第三の「系」として美術や芸術を扱う「美系」を提示し、様々な芸術を紹介していきながら、これからの社会の在り方として芸術の重要性を訴えた一冊。2013/03/02
はーと
6
まず当たり前だが、現代の文化・産業がさまざまな文化から成り立っている。というのを理解するのが重要だ。ものを作る。というのは断片化した文化を、再構成する、「編集術」でもある。と理解。2014/08/09
gorgeanalogue
5
「芸術への回帰」が理路整然と語られるわけではなく、イメージが、話題に触れてはさっと身をかわすようにして細かな擦過をそこここに作っていく。単に曖昧さとも「自由な思考」とも違う、オルタナティブを探してさまようような語り口の新しさ。でも新書のフォーマットにはマッチしていないと思う。それが実験だったのかもしれないけど。2017/09/14
ceskepivo
3
地球のあらゆる場所を名付けてしまい、名付けることによって惑星を支配するにいたった人間は、今その地名を部分的にせよ、捨てる段階へと進みつつある。消えゆく地名はその兆候かもしれない。2023/01/24