内容説明
労働時間の変化、県民所得トップ10、役職者と一般社員の賃金格差、60代後半の就業率、男女の賃金格差、企業の開・廃業率、通塾率と学力差、5億円以上の超富裕層の数…50の項目で、日本の「今」を総点検。
目次
序章 日本の今とコロナ禍
第1章 日本経済の健康診断
第2章 教育格差
第3章 日本人の労働と賃金
第4章 日本人の生活
第5章 老後と社会保障
第6章 富裕層と貧困層
第7章 地域格差
第8章 財政
終章 今後の日本の針路
著者等紹介
橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年、兵庫県生まれ。小樽商科大学、大阪大学大学院を経て、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。京都大学教授、同志社大学教授を歴任。現在、京都女子大学客員教授。仏米英独で研究職・教育職を経験。元日本経済学会会長。専門は経済学、特に労働経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
41
50項目で様々な観点から日本の「いま」を考察していく一冊。経済成長率、年間出生数、労働時間、製造業の労働生産性、教育費と教育格差の関係、10年以上の勤続者、企業規模別や男女別、正規非正規の賃金格差、家族構成、未婚率、家計貯蓄率、社会保障費や国民年金、富裕層と貧困層、地域格差や財政など、様々な指標の変化を通して見えてくる今の日本の状況。特に新しい知見があったり、斬新なものの見方をしているようなことはなかったですが、数値がどのように変化したのかを追えて良かったです。でも正直ここから盛り返すのは大変そうです…。2021/06/03
hatayan
41
00年代に『格差社会』の概念を広めた経済学者が日本の社会の変容を示す50の統計データをグラフ1頁と解説2頁で解説する入門書。社会的な格差は2005年にピークを迎えたが80年代と比べると広がる傾向にある、職業、文化的な素養や所得の多寡は親から引き継ぐところが多い、社会保障の負担率では日本は欧米と米国と比べると中福祉中負担の国である、過去の日本人が有していた仕事第一の精神は減退して多様な価値観が認められる時代になった、など。議論の前提になる知識を確かなものにするために時折読み返したい一冊です。2021/04/28
ステビア
18
いろいろデータを羅列してるが、ただそれだけで退屈。2021/06/14
Francis
16
1990年代後半から「日本の経済格差」などで日本の格差に警鐘を鳴らしてきた橘木先生の新著。労働時間の変化、企業の開・廃業率、通塾率と学力差…などの様々な指標について論じている。日本の格差は拡大しているのは事実であるが、まずはこのようなデータをきちんと頭に入れて議論すべき。巻末に今後の日本の経済の見通しについて触れられており、一つの見方として参考になるだろう。2021/03/25
Katsuto Yoshinaga
14
日本人は働き過ぎと自戒するも、韓国、アメリカ、イタリア、カナダよりも労働時間は少ないそうだ。その他にも「他国の3分の一しかない(日本の)開・廃業率」「日本の10年以上の勤続率は45.8%で、これはイタリア、ベルギー、フランス、ドイツも同水準」「日本人の幸福度は58/156位ながらG7で最下位。ちなみにブータンはグローバル化により現在95位」「自殺率のトップ2はロシアと韓国。経済格差の激しさが理由とされる」等々、統計データを紐解き、日本と他国の実態や現在を見せてくれる。ちょっと硬いが、良書だった。2021/09/03