内容説明
王朝の男の理想像「昔男」の人生を、「初冠」(成人式)から臨終まで、秀逸な和歌とともに語る短編連作歌物語集の傑作。美男で心優しく情熱的な昔男には、高貴な女性も市井の女も、老いも若きも心を奪われないではいられない…。王朝の人間模様を生き生きとつづり、後世の日本文化に大きな影響を与えた作品。現代語訳・原文・注釈・コラムなどによって、哀切な純愛から年をとった男のいささか滑稽な姿までを縦横に楽しめます。
目次
透き間から昔男の忍ぶ恋(初段)
春雨をながめて日がな想う女(二段)
ひじき藻に熱い思いを贈りやる(三段)
月と春去年も今年も変わらぬが(四段)
童の崩した築地は恋の路(五段)
芥河はかなき女は露と消え(六段)
うらやまし京恋しやかえる浪(七段)
友と見る浅間の山に立つ煙(八段)
東下り―東国の沢に淋しくかきつばた(九段‐一)
東下り―道暗く夢にも宇津にも逢わぬ女(九段‐二)〔ほか〕
著者等紹介
坂口由美子[サカグチユミコ]
東京都生まれ。学習院大学大学院修士課程修了。学習院女子中・高等科教諭。中古文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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