内容説明
東京電力福島第一原子力発電所の事故が引き起こした深刻な放射能汚染。食の安全性への不安が高まるなか、子どもたちが毎日食べる学校給食に対する保護者らの心配も強まっている。学校給食の安全を守るため、自治体や調理現場で広がる放射能測定の取り組みなど、学校給食をめぐる現状を紹介。放射能の基礎知識も解説しながら、長期的な課題や具体的な対策を考える。
目次
第1章 学校給食は、いま(学校給食のしくみ;原発事故以前の状況と課題;原発事故と学校給食;保護者たちの不安をどう見るか)
第2章 放射能汚染と食品(食品と被曝;問題となる放射性物質;食品の放射能測定の意義)
第3章 学校給食と放射能対策(各地ではじまる放射線測定;測定方法と公表、自主基準;検出時の対応例)
第4章 学校給食の現場から(被災と汚染を超えて―福島県栄養教職員;地場産学校給食と放射能汚染―長野県栄養教諭 ほか)
第5章 安全も安心も、学校給食から(「教育」としての学校給食;学校給食への提案;学校給食の可能性)
著者等紹介
牧下圭貴[マキシタケイキ]
1965年熊本県生まれ。広島大学総合科学部卒。有機農産物宅配組織勤務を経て、NGO「農と食の環境フォーラム」代表。東京農業大学農山村支援センター学術研究員。学校給食ニュース編集責任者。提携米研究会事務局長。生産者と消費者をつなぐ測定ネットワーク事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
16
FB友達が干椎茸の線量の高い市町村マップを紹介してくれたので、気になっていた。日本一の給食費として有名になったこともある塩尻市(杉木悦子氏への取材)の自校給食で、栄養教職員を配置、独自献立提供。ここには、生徒に献立を考えさせるという、マーケティング発想がある。大いに学ぶべきことで、消費するのは彼らだから。れんこんや干し椎茸は、100㏃/㎏未満でも数値が出ていれば産地を再検討する(63-65頁)。(わたくしは親ではないが)この姿勢は、他の栄養士にも大いに教訓として受け止めてほしいものだ。卒業した自己責任か。2014/02/25
羽
13
☆☆☆ 色もにおいもない放射性物質。原発事故により放出されたそれは、風や雨、生態系によって移動し、影響は広範囲に及ぶ。本著は内部被曝の原因となる飲食による放射性物質の摂取対策の中でも、特に学校給食における取り組みについて紹介している。自治体ごとに測定値を公表したり、学校給食の調理前に食品の放射線量を測って数値の高い場合は使用を取りやめたりしている。本著は2013年発行。2017年現在、学校給食の放射線量の測定はまだ行われているのだろうか。食品の測定値が基準値を超える状況はまだ続いているのだろうか。放射線2017/01/19
Miki Shimizu
3
きちんと測定して安心なもの出しているところと、安全だ!という国にのっかって応援しよう!と福島産の食材を出すところ。どないやねん?!きちんとはかったうえでの本当の安心、福島や放射性物質で汚染された土地や農産物へのきちんとした補償、お金いるし、大変だしなんて言わずにキッチリやるのが原発推進してきた国や電力会社の責任ちゃうんかなー。今ちゃんとしとかないと、将来大変になりそうだなー。2014/01/09
マルグリット
1
地域によって給食対応はまちまちですが長野県塩尻市の給食は羨ましいです。横浜も給食の線量測定に早くから対応していましたが結果がHP上にアップされるのが子供が登校した後で無意味でした。2014/03/03
主任のデリちゃん
1
各地の学校給食の放射能汚染に対する取り組みや放射性物質の基礎知識などが読みやすく書かれていました。自分ではまだ選択出来ない子どもを守る為にも、すでにご存知の方もページ数少ないですし復習を兼ねて読んでみても損はないと思いました。2013/08/01