出版社内容情報
24時間,明りに照らされた生活を手に入れた現代.しかし,私たちは本当に大切な「光」を見失っていたのではないか.自然への畏怖を忘れ,人間を最も優れた生物とする価値観が,大震災と原発事故を経て,いま根本から問われている.世界各地の自然や人の暮らしを見つめてきた著者が,自らの体験をもとに震災後の生き方を探る.(カラー写真32頁)
内容説明
24時間、明りに照らされた生活を手に入れた現代。しかし、私たちは本当に大切な「光」を見失っていたのではないか―。自然への畏怖を忘れ、人間を最も優れた生物とする価値観が、大震災と原発事故を経たいま、根本から問われている。世界各地の自然や人の暮らしを取材・撮影してきた著者が、カラー写真を交えながら、3.11後の生き方を考える。
目次
はじめに―暗闇のヘッドライト
1 畏怖する思い 畏敬する心
2 無限大に増殖する人間の欲望
3 物語とモノ社会
4 聖域に想う
著者等紹介
桃井和馬[モモイカズマ]
1962年生まれ。写真家、ノンフィクション作家。これまで世界140カ国を取材し、「紛争」「地球環境」などを基軸に、独自の切り口で「文明論」を展開。講演・講座の他、テレビ・ラジオ出演多数。第32回太陽賞受賞。恵泉女学園大学客員教授(人文学部)も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
37
フォトジャーナリスト桃井和馬によるフォトエッセイ。3.11後における日本の状況だけでなく、太古の昔から本当に大事にされなければならないものはなんなのかを問いかけている。「変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えてください。」(P43)この祈りの言葉に全てが集約されているように感じた。★★★★☆2016/04/22
ロア
32
フェルメール?こんな絵もあったんだ〜ってよく見たら絵ではなく写真でした(*゚ω゚*)電気の無い村の暮らしは「自然」とぴったり寄り添っている。夜はもちろん真っ暗。いつでも全てが明るい日本で暮らす、暗闇への「耐性」が低い私たち。それは自然を受け入れるキャパが狭いという事でもあり、例えば雨が降れば不満を漏らし、暑くても寒くても不満を漏らすような、人間にはどうする事も出来ない自然現象への耐性の低さにも通じる。さらには、科学の力を持ってすれば自然をコントロール出来るという驕りにも繋がる。そんな中、3.11は起こった2016/11/02
ロア
27
「『貧しさ』は『不幸』と同義ではない。また『豊かさ』は『幸福』と同義ではない。この地上にはまだ、貧しくても幸せな場所があり、豊かでも幸せから遠い場所がある」貧しくても幸せに暮らしている人々の所に押しかけて、私たちが持つ幸せの価値観を押し付けるような援助や支援をすることは、余計なお節介だと思うのです。2016/11/01
花
3
写真が美しい。副題の「祈り」の厳かさが伝わってくる。「カミ」を失うことは闇を失うこと。私も廃墟を歩くから、闇の恐ろしさは常に感じている。一方で折角「カミ」と資本主義経済の話に言及していたのに、最後がありきたりな原発批判で終わってしまったのは惜しい。もう少し、別視点から踏み込んでほしかった。2014/10/21
みよかわ
3
写真が美しかった。自然と祈りと生き方について考えさせられた。夜の暗闇の深さがあるからこそ、光は輝く。作られた希望の中で本当の希望は輝いているのに、私達が見つけられていないだけなのかもしれない。2013/12/18