感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なさぎ
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道徳性には、地域や文化に依らない普遍的な六段階の発達過程があるという。現代でよく言われる「文化や価値基準で道徳観念は異なるので、多様性を尊重すべき」という相対論は上から2番目、第五段階に位置する。コールバーグは第六段階を「生命の尊厳の保守」としていて、ここに普遍的妥当性が存在するという。興味深いのは、「生命の保守」ではないという点。つまり、場合によっては物理的生命自体より、その尊厳が重要視される場面がある、とする。素朴な「命は大事」とは一線を画した道徳理念がここにはある。2022/07/11