内容説明
死刑廃止は人権を守るための闘いである。人権とは「ともに生きる」ための最低の条件である。「ともに生きる」ことのできる社会があって、われわれの生存がある。…長い歴史を有する死刑制度について、世界動向を踏まえた上で、改めてその問題点―憲法に違反していないのか、犯罪の抑止力となるのか、死刑と無期の選択に境界があるのか、など―をさぐり、様々な調査・分析を通して、あるべき方向づけをここに試みる。
目次
1章 いま、なぜ死刑廃止か
2章 死刑は日本国憲法に違反している
3章 刑法理論は死刑と両立しない
4章 犯罪抑止力とならない死刑
5章 死刑制度は世論にしたがうものか
6章 死刑と無期の選択に境界がない
7章 国際規約に違反している死刑確定者の扱い
8章 国際的視点からみた死刑
9章 死刑に代わる制度をどうするか
10章 被害者感情と被害者補償
11章 死刑廃止運動の現状と展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
48
死刑は必要。本書を読んでさらにその決意が固まった。確かに死刑と無期懲役の差は曖昧。死刑囚が弁護士との接見や面会、手紙など通信の自由を奪われるのは間違っている。それでも【死刑しかない鬼畜】は存在する。加えて著者は【死刑廃止後】について提起が貧弱。あまりに無責任。死刑が【残酷な刑罰】なら終身刑はどうか(後述)。反省の有無に関係なく社会に出られないなら。反省しないままの方が楽。複数の国で終身刑に批判があることをどう解釈する?古い本(あとがきが94年)ということを差し引いてもツッコミどころ満載。疑いつつ読むべし。2023/01/30
新橋九段
2
興味深い点もあるが少々議論の運びが雑なのではないかと感じる部分がみられた。この本では反対派を説得することはできないのではないか。2015/03/11
のび太
1
死刑廃止論のHowTo本としての価値は高い。もう一歩踏み込んでくれていればかなりよかった。