内容説明
公教育の発達が遅かった英国においては、公教育の体系とは別に、私立学校であるパブリック・スクールが大きな役割を果たしてきた。もともとパブリック・スクールは地元の貧しい英才を教育するのが目的だったが、一九世紀後半には奨学金も成績本位で与えられるようになり、完全に支配階級に独占されてしまう。名門ラグビー校を舞台とした『トム・ブラウンの学校生活』をテキストに、校長トマス・アーノルド、そして一九世紀のパブリック・スクールの実像に光を当てる。
目次
知ってるつもり?パブリック・スクールについての10問
現代英国の学校制度
パブリック・スクールはどのようにして生まれたか
アーノルド以前のラグビー校
ラグビー校以前のアーノルド
アーノルド、ラグビー校の校長に選ばれる
クリスチャン・ジェントルマン
『トム・ブラウンの学校生活』
『トム・ブラウンの学校生活』執筆と出版
トマス・ヒューズという人―永遠のパブリック・スクール・ボーイ
パブリック・スクール新時代
アスレティシズム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハル
2
パブリックスクールの歴史。名門ラグビー校や、校長トマス・アーノルドをメインに色々と。割りと読みやすく、面白かったです。ラグビーの発祥ってそこだったんだ。2015/12/17
如月睦月
0
パブリック・スクールの成り立ちから基本的なことまで述べた後、ラグビー校の校長トマス・アーノルドと『トム・ブラウンの学校生活』のトマス・ヒューズについて書かれている。個人的にはアーノルドやヒューズについてよりもパブリック・スクールについて知りたかったので、これらについてもっと書いて欲しかった。ただ『トム・ブラウンの学校生活』のあらすじを章ごとに書いてくれているので、読まなくてもトム・ブラウンの寄宿舎生活が知れて、学生生活ぶりが分かって良かった。2013/12/05
hahiu
0
パブリックスクールの成り立ちや改革を通して当時の社会経済、政治の状況なども知れるのは、読み始めに求めていた期待通りで良かった。アーノルド校長(実物のほう)の歴史教育も興味深かったし。時々思い出したように同時代の日本の話を持ち出してるのは余計かな、、、かするほども関連してないので「日本人ならこういった方が分かり易いでしょう」って言われても、明後日の方向へ急にひっぱられるような気がするのであれはなくて良いと思う。2013/05/25
ヤクーツクのハチコ
0
児童書『トム・ブラウンの学校生活』と舞台となった学校名門ラグビー校を中心に、ジェントリ階級と国教会という独自の国家システムを担う人材を作り上げたパブリックスクールに関する入門書。新書の表紙から想像したのとは違って、非常に読みやすくわかりやすい。またトムブラウンの学校生活を説明する章では出版当時の挿絵がふんだんにもりこまれ、それだけでも楽しめる2012/01/20