内容説明
現代アメリカ作家たちが語る現在進行形の愛。都会にひそむ不安定な愛、リリシズム漂う初恋…レイモンド・カーヴァー、ボビー・アン・メイソンなど、現代の愛のゆくえを映す傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安部圭二
7
「人生における最大の悲劇は死ぬことではない。愛することをやめることだ。」という最初の一文に心を鷲掴みにされたけど、本文はどこかしら哀愁が漂う様々な愛の形8篇で、愛することって結構複雑なことなんのかな、ともやもや。ただ、「愛を語るときに我々が語る事」レイモンドカーヴァー×村上春樹は読んでも損はないし、私は「世界のハーモニー」チャールズバクスターは知らなかったけど、なかなか面白かった。でも私にはやっぱり、ちょっとレベルが高かったかな。2015/11/01
あなた
3
愛にまつわる翻訳短編集。やっぱなんといってもカーヴァー・春樹タッグの「愛について語る時に我々が語ること」が白眉。カーヴァーの「純粋言語(ベンヤミン)」を訳せるという春樹の自負の結晶。なぜかこの本、かっならずブックオフの100円コーナーにあるんだけど、愛をうたう本の割には愛にめぐまれてないよなあ2009/07/19
くさてる
1
愛をテーマにした80年代後半のアメリカ小説アンソロジイ。思い出も、同性愛も、皮肉も、純粋な惹かれあいも、語りも、さまざまなかたちで存在する愛の形を読むことが出来るけれど、どの作品にも、不思議なほどの寂しさと空しさがあるような気がする。そういう時代だったのかとも思う。作品も役者も粒ぞろいで、翻訳文学が好きな人ならお気に入りの作品がひとつは見つかると思います。2013/05/22