新潮文庫<br> 十一の色硝子

新潮文庫
十一の色硝子

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  • サイズ 文庫判/ページ数 242p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784101123271
  • NDC分類 913.6

内容説明

初老の男たちの心に残されたつらい戦争の記憶。若き留学時代にふれあった異邦の人々の上に流れた歳月の跡。兄の死と母の遺体の再埋葬にたちあい心をよぎる人生の帰着の姿。歳月、老い、そして人生…。夕暮れの光を受け鮮やかな輝きを見せる色硝子のように、深々と心に刻まれる生の断片。生きることの重みを、人生のうしろ姿を、読む者の心にしみこませる11編を収めた短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

501

15
いかにも50歳を超え人生経験を積み重ねた作家の、とても味わい深い11の短編集。この本のように、人間の等身大の姿が描かれていると感じる作品は人間とはどういう生き物なのかがわかりおもしろい。2022/06/05

松風

15
戦争と信仰という遠藤周作のエッセンスを散りばめた短編集。ペシミズムの猫背に潜む〈傲慢〉がえぐり出された瞬間をとらえる。2014/08/29

ぼぶたろう

12
短編集。ホロコーストをテーマにしたもの以外は創作というよりエッセイに近く、作者のバックグラウンドを垣間見ることができる。 自分の中の差別感情や、信仰心の不信を嫌悪しながらも失くしきれない、そんな葛藤を抱いていたのだろうか。沈黙には、そのエッセンスが効いているような気がする。2018/07/20

桜もち 太郎

8
昭和50年代前半の作品。キリスト教信仰が色濃い作品が多い。「代弁人」は作者が翻訳もしている「テレーズデスケイルゥ」を読むような感じがした。「聖母賛歌」で48歳の主人公が思う「人間には直そうとしても直らぬ性格や弱さがあるし、その性格や弱さは時としてその人間の運命さえ作ることもある」、自身と照らし合わせて読んでしまった。さすが遠藤周作。短編も素晴らしい。2016/12/28

ken

7
傑作とは言い難い作品が、その分彼のエッセンスがじわじわ滲み出た味わい深い十一の短編集。ホロコーストの悲劇、黒人に対する差別感情、母と兄と飼い犬の死、自身の闘病経験、信仰に挫折した神父など様々な人間模様が描かれる。それぞれがそれぞれのモチーフを持っているわけだが、敢えて共通項を見ようとするならやはり「人間の悲しみ」なのだろう。『人間は人生のある時期、皆、同じような悲しみや苦しみを味わうのだと私もこの年になってやっとわかってきた』(「幼なじみたち」より)人間は悲しみとともに生きていかなければならない。2017/10/01

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