新潮文庫<br> オリンポスの果実 (改版)

新潮文庫
オリンポスの果実 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 154p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101076010
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Y2K☮

40
漕艇選手として1932年のロス五輪に出場した稀な経験と女子選手への淡い恋心に材を採った哀しき青春小説。著者は太宰の弟子で後年禅林寺の師の墓前で自ら命を絶った。先輩選手の嫉妬含みのいじめが悪意に満ちていて嫌だった。今は競技に集中しろと注意すれば済む話なのに。主人公の方も武者小路実篤「友情」の野島みたいに女性に一方的な幻想を抱き、それにそぐわぬ実態を見る度に勝手に失望する点は褒められたものじゃない。未熟な純愛ゆえの愚かで愛すべき暴走。眩い太陽の下で育ち、即座に摘み取られたまさに甘くて酸っぱいオリンポスの果実。2015/09/28

ω

35
瑞々しい恋愛小説だったω このもどかしさ、たまんねーー!!青い、青い〜!! 大学生時代の私小説とされてますが、田中氏の片想いがこじらせすぎ(T . T)\(^ω^ ) 最後まで繰り返される問いかけに、熊本秋子さんは「いいえ、そんなこと一度も!」と言うのではと思ったω2020/02/27

メタボン

29
☆☆☆★ 背広をなくしたり、財布を見当たらなくしたり、秋ちゃんへの想いもいじいじしたもので、肝心の恋は全うできない大坂に「情けないぞ」と一喝したくなる。されどこのもどかしさが純愛なんだね。2016/12/06

やまはるか

27
 「あなたはいったい、ぼくが好きだったのでしょうか」天声人語に引用されたこの一文に惹かれて読んだ。天声人語が話題にしたのは為替で、この話の中で主人公は1ドル3円の世界にいた。単純比較はできないとしながら、円の価値が90年で50分の1になった証拠として挙げられている。1932年、ロサンゼルスオリンピックに日本の選手団を運ぶ船上で出会った女性に、10年の時を経て語りかける形式の一人称小説。太宰治の墓前で後追い自殺を遂げた「無頼漢作家」とある。そんな強烈な事件があったとは知らず、むしろ作品の外に関心がいった。2024/05/05

tamako

25
「鞄に本だけつめこんで」に紹介されていた本を青空文庫で。移動中の船内での練習描写は「オリンピア」の映像美を思わせる美しさだが、終盤の陸上選手に関する記述や簡潔にまとめられたボート選手たちのその後が現実の厳しさを物語っていて、切ない。ストーリー的には、眩いアメリカと外国人選手の強さを賞賛しつつ小さな片想いにイジイジする対比が悲しみを通り越して笑えるレベルなのにやっぱりションボリさせられてしまう。https://www.aozora.gr.jp/cards/000126/card669.html2021/11/20

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