新潮文庫<br> 秀吉と利休 (改版)

新潮文庫
秀吉と利休 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 457p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101044026
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

54
この著者の作品を初めて読んだが、情景や状況描写の素晴らしさ!利休のお点前の流れるような運びを描く雅な筆裁き、読んでその利休の茶道光景が目に浮かぶ。そして利休が晩年に向けての不安に陥る心理描写等の描き方も卓越。こちらまでその不安な状況がうつってきそう。そして物語の内容。何となく予測のつく物語の内容と思っていたら、こちらにも著者の趣向が凝らされていて面白い!2017/07/21

キジネコ

52
太閤秀吉を英雄としてではなく、茶聖利休を探道者としてではなく物語は終始します。描かれるのは人間のエゴです。歴史に残された爪痕は時経て歩む私達に口を重く堅く閉ざし、そこで実は何が起きていたのか?この二人の偉人の間で交差した熱が何故に其の結果を選択させたのか、謎は否応なく読者を惹き込みます。美の平衡の鑑識者として自負を誰よりも強く持つ利休は心底の闇中に成上り者秀吉への侮蔑を抱えています。天下と自身を呼ばせる秀吉は権力の頂点の自賛の蠱毒渦中にあって或る負けめを抱きます。二人が恰も光と影の様に、表裏成した蜜月…☞2020/10/19

mm

26
一読読んでみたいと思っていた野上弥生子さんですが、1885年生まれとは驚いた。私のイメージでは昭和の作家だったが…1985年までご存命で、この作品は64年に女流文学賞を受賞。ほぼ80歳。もうこのエピソードだけでしみじみしてしまうのだけど、内容も素晴らしかった。場面は利休が秀吉に切腹を命ぜられる前、約三年間の出来事に絞られている。そこに現れる茶人の世界観・秀吉の老・秀吉のコンプレクス・架空の息子を登場させて描く偉人の子の悩み・秀吉側近の思惑が絡み合う。着物の描写、茶室のしつらえ、季節ごとの光の表現が見事!2021/04/18

はるほのパパ

16
利休関係の本は数冊読んだので結末はわかっているつもりだが、「利休にたずねよ」と「・・・その妻たち」などの他にはない細かな心理描写でこれも名作である。 紀三郎が架空の人物と知って少し戸惑いがあったが・・・。 順序としてはこの作品を最初に読まなくて良かったと思うのは私だけかな・・・。2016/06/11

まみ

11
利休、そして秀吉、山上宗二を描出した実に素晴らしい作品で、作家野上弥生子さんの力量に打ち震える。水尾比呂志氏の解説がまた明快で、そこに作品中に虚構の人物があることに触れてなければ、すべてが史実のように受け止めてしまうほどに、筆力が圧倒的でのめり込んでしまう。それほど、利休を死に至らしめる種々の工作や心の葛藤、力関係のかけひきに説得力があった。「唐御陣が、明智討ちのようにいけばでしょうが」という言葉を利休に言わしめた作家の構想力が光る。2020/03/07

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