新潮文庫<br> 川のある下町の話 (改版)

新潮文庫
川のある下町の話 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101001128
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

376
小説全体の内容とタイトルとが乖離しているように思われる。初出は「婦人公論」に連載されていたようなので、あるいは書き進めるにつれて構想が変化していったのかもしれない。本書は、一応は純文学の範疇なのだろうが、多分に通俗小説めいた要素もあり、そのあたりは盟友の三島(こちらが後発だが)の一連の小説群と似ているだろう。小説は、義三を中心に3人の女性を配して展開する。薄幸のふさ子、すべてに恵まれた(愛は得られないが)桃子、新しい時代を背負う女医の民子である。三人三様の在り方で慕われる義三だが、やはり彼の心は⇒ 2021/06/28

Gotoran

48
終戦後間もない東京の下町で庶民は貧乏が当たり前、生きるのに精いっぱいの時代、溝川に一人の子供が流されることから物語が始まる。・・主人公のS大学医学生インターンの栗田義三と中学を出てパチンコ店で働いている身寄りがない目が美しい(義三が助けた)少女吉本ふさ子、義三の従妹で高校3年生の千葉桃子、義三と同級の医学生インターン井上民子、キャバレーの孤独な青年達吉らが織りなす人間模様が緻密に描き出されていく。善意に充たされた若者の危うさ、哀れさを垣間見ることができた。2018/05/29

メタボン

34
☆☆☆☆ ふさ子の悲哀、桃子のいじらしさ、民子の凛々しさ、それぞれが際立つ作品。悩める義三も、貧しい人達のための医療に従事することを選んだ。読みやすい中にも、人の生の儚さを感じさせる、良作だった。2018/01/17

ジュンコ

21
義三と3人の女性たちをめぐる物語。戦後の混沌とした時代。今より死が身近だった時代。その時代を生きる人たち。善良な人が幸福になれるわけではないという人生のやるせなさ。死と生ははかない。川端の死生観。2016/05/04

双海(ふたみ)

17
昭和28年に『婦人画報』に連載されたもの。虚無の雑音によどむ庶民の街。解説より:「人間のうつくしさの極致は、青春の愛の姿に最もよく具象されているのだ。(中略)おたがいに愛し愛される男女は、悲しいばかりにうつくしい善意に満たされた人ばかりである」2020/11/06

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