出版社内容情報
信州の農家に生まれ,溢れるばかりの活力と情熱をもって時代に突進し,終生青年の如き理想を抱き,蹉跌しつつも誠実に生き通した岩波茂雄.その事業と生活とが,温かい理解と忌憚なき批判の下に描きあげられる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
10
厳粛な自己反省。理想を追って現実を忘る。人生の意義を悉く解して後、職業を選ばんとする者は、一生為さずに終る。宇宙の根本義を考えるをやめ、現在自己の尽すべきことをなす。人生の価値は自ら作るべき(63頁)。身につまされることばかり。女学生への教育も熱心だった茂雄氏(93頁)。弱点としては、加減ができないところか(95頁)。「正義は最後の勝利者なり」(106頁)。簡易生活を根本方針とした古本屋経営(111頁)。真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む」(146頁)。2013/11/20
讃壽鐵朗
0
身近にいた人間による伝記で、これぞ伝記中の白眉というべし。読了後、益々岩波文庫を読みたくなった。