内容説明
いかなる経済学が、新自由主義に代わって、ポスト・グローバル化時代の指針となるのか?金融危機・債務危機を引き起し、地球環境を破壊してしまった「新自由主義」に代わって、現在、最も欧州で注目されているのが、“脱成長”の経済学である。“脱成長による新たな社会発展”を目指すこの経済理論は、グローバル資本主義の構造的矛盾を克服するものとして、左右の政治の壁を越えて話題となり、国会でも論議されている。“脱開発”を掲げる新聞・学術誌が発刊され、学会や地方政党も誕生し、社会現象となるにまでにいたっている。本書は、その提唱者である経済学者ラトゥーシュの代表作二冊を日本読者向けに一冊にまとめた、“脱開発”学派の基本書というべきものである。
目次
第1部 “ポスト開発”という経済思想―経済想念の脱植民地化から、オルタナティブ社会の構築へ(“ポスト開発”と呼ばれる思想潮流;ある概念の誕生、死、そして復活;神話と現実としての発展;「形容詞付き」の発展パラダイム;発展主義の欺瞞;発展パラダイムから抜け出す;想年の脱植民地化)
第2部 “脱成長”による新たな社会発展―エコロジズムと地域主義(われわれは何処から来て、何処に行こうとしているのか?;“脱成長”のテリトリー;“脱成長”―具体的なユートピアとして;政策としての“脱成長”;“脱成長”は人間主義か?)
著者等紹介
ラトゥーシュ,セルジュ[ラトゥーシュ,セルジュ][Latouche,Serge]
1940年生まれ。フランスを代表する経済哲学者・思想家。パリ南大学(オルセー)名誉教授。専門は、南北問題、社会科学哲学。サブサハラ・アフリカの開発問題から研究を始め、開発経済学と西洋の社会発展思想の理論的・倫理的矛盾を解明する学術書や、国際開発政治を批判する啓蒙書を多数発表してきた。著書は、イタリア語、スペイン語、カタロニア語、英語、ポルトガル語、トルコ語、アラビア語など、世界各国で翻訳されている
中野佳裕[ナカノヨシヒロ]
1977年、山口県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、英エセックス大学政治学部イデオロギーと言説分析修士課程修了、英サセックス大学社会科学とカルチュラル・スタディーズ研究科開発学博士課程修了。開発学博士(DPhil in Development Studies)。専攻:国際開発論、平和学、社会政治哲学。現在:立命館大学国際関係学部非常勤講師。フランス国連経済社会理事会諮問機関NGO・PEKEA会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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