角川文庫
経度への挑戦

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  • サイズ 文庫判/ページ数 212p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784042982081
  • NDC分類 448.4
  • Cコード C0198

内容説明

時は18世紀。ヨーロッパ諸国では、「正確な経度を測ること」が科学上の最重要課題となっていた。大航海時代を経て海洋交易が賑わう一方で、幾多の命が海難事故で失われていた。1714年、英国議会は「実用的かつ有効な」経度測定方法の考案者に対し“国王の身代金”に相当する賞金を設定。天文学者たちは天体の運行から経度を求めようとするが、決定打とはならない。そんな中、1人の天才的な時計職人が名乗りを上げた―。

目次

仮想の線
時のない海
時計仕掛けの宇宙
びんのなかの時間
井感の粉
賞金
歯車作りの日記
バッタ、海に飛びだす
天の時計
ダイヤモンドの時計
火と水の試練
二枚の肖像画の話
ジェームズ・クック二度目の航海
大量生産へ
子午線の中庭で

著者等紹介

ソベル,デーヴァ[ソベル,デーヴァ][Sobel,Dava]
ニューヨークのブロンクス生まれ。大学では演劇史を専攻し、卒業後、科学ジャーナリストに。元「ニューヨーク・タイムズ」科学欄記者。『経度への挑戦』が欧米でロングセラーとなる。現在はニューヨークのイースト・ハンプトン在住

藤井留美[フジイルミ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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まーくん

52
大航海時代の始まりから300年経ても経度を正確に決めることが出来なかった。天測から比較的容易に求められる緯度と異なり経度決定には正確な時刻を知ることが必要。位置誤認に起因する海難事故も頻発。海洋覇権を築きつつあった英国は経度委員会を設置、法を定め賞金を懸けた。天測に基づく時刻決定「月距法」が有力であったが、一介の時計職人ジョン・ハリソンが多くの困難や妨害・偏見を乗り越え、高精度の海上時計を作り上げ難題を解決する。数千km離れ、数か月の時を越え、基準となる母港の時を刻む。許容される誤差は一日当たり3秒。2019/01/31

Ayumi Katayama

22
緯度は太陽の高さで決まる。では経度はどうやって決まるのか。それは時間である。言われてみればなるほどと思うが、経度と時間を結びつけてみたことはなかった。とは言え、時間を正確に知るということは実はなかなか難しい。昨今は正確な時刻をかなり安易安価に知ることができるが、一つには水晶発振器を用いたことと、いま一つは標準時刻に補正する機能があることによる。純粋な機械式にのみ頼る時計だと、現代でも日に秒単位で誤差が発生する。数日経てば数分遅れているということも少なくない。ましてや18世紀においておやである。2021/01/23

Shin

19
大航海時代の冒険野郎たちが心から欲した「正確な経度」を巡る物語。そう聞くと地味なんだけど、こんなにも面白いとは想像もつかなかった。恥ずかしながら元天文少年として、各地の由緒ある天文台が航海の経度計測精度向上のために設立されたことを知らなかったことが悔やまれる。そのことを知っていたら、星座に六分儀や望遠鏡が含まれている意味をもっとワクワクして味わえただろう。主人公は「時計」とそれを作った職人だが、それに対抗心を燃やす天文学者も、それを信じて海原に乗り出す航海者もまた、経度という見えぬ物に挑戦した英雄だ。2017/01/25

鐵太郎

15
現代であれば、天文学による測定法は非情に難しく、熟練と高価な機材を要し、しかも時間的な、あるいは気象的な条件が限られることで実用性はないと決めつけられます。クロノメータを作って大量生産すれば簡単ではないか、と。当時もそう考えた人はいたでしょう。しかし、当時の技術では、恐ろしく大変な作業だったのです。そこを、芸術的なまでの職人仕事を平易な、安定した精度で行えるようになり、コストは下がり、普及率は上がりました。その先鞭をつけたパイオニア、ジョン・ハリソンの功績を、この本はゆっくりと時間を追って記録します。2011/08/24

フク

12
#読了 1997年刊行 ジョン・ハリソンの製作したクロノメーターが、一部の月距法派の妨害にも負けずに経度測定の手法として認められていく様子を追う。 H-3までのメカメカしくワクワクする外観とは異なり、H-4の美しさは圧巻。何があったんだろう。 図書館2024/05/02

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