内容説明
三浦梅園は豊後の僻村にあって生涯仕えず思案を重ね、「条理学」という近世日本における独創的な思想体系を完成した哲学者である。著者は梅園手沢稿本の中に沈潜しつつ、『玄語』以下の幽玄なる条理をたずねて畢生の努力を傾けるとともに、偉大な思想家の生涯を見事に叙述した。深奥な梅園哲学を解明する読書人必読の好著。
目次
1 〓山の雲
2 贈従四位三浦梅園先生
3 梅園の家系
4 梅園の生いたち
5 青年時代
6 壮年時代
7 梅園の門人
8 梅園の交友
8 晩年の梅園
10 梅園の思想とその後
補説 梅園の学問と思想
略系図
略年譜
感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
20
学問に志したが家が貧困だったので遠く遊学することは許されなかった(47頁)。梅園の学問の流儀は、デカルトのように疑ってかかることから始めることを説く(68頁)。日本の子供もこのような流儀ではないため、立場主義に支配されて偉大な思想家を産まないと思われる。梅園は寒村に居て師友もなく独り黙々として読書に努めた姿が思いやられると著者は同情(100-1頁)。『玄語』は31歳で初めて稿を起し、53歳で完成を見るまで、23回稿を換え、23年を要した(107頁)。敬服しきり。『価原』はグレシャムの法則と一致する。2021/03/23