出版社内容情報
6世紀初め、近江から迎えられ大和の王権を継承した大王。淀川水系を中心に勢力を拡大し、即位後には氏姓(しせい)制・国造(こくぞう)制などの創始、百済(くだら)への援軍派遣など諸政策を実施する。晩年には「磐井の乱」を鎮圧し、死後葬られた今城塚古墳では盛大な葬送儀礼が行われた。記紀の信憑性を検証しつつ、古代国家の形成過程で大きな画期となったその生涯を追う。
内容説明
六世紀初め、近江から迎えられ大和の王権を継承した大王。淀川水系を中心に勢力を拡大し、即位後には氏姓制・国造制などの創始、百済への援軍派遣など諸政策を実施する。晩年には「磐井の乱」を鎮圧し、死後葬られた今城塚古墳では盛大な葬送儀礼が行われた。記紀の信憑性を検証しつつ、古代国家の形成過程で大きな画期となったその生涯を追う。
目次
第1 継体即位前の時代
第2 継体の生年と出自
第3 継体の即位
第4 継体朝の内政
第5 「磐井の乱」とその意義
第6 継体朝の外交
第7 継体の死とその後
著者等紹介
篠川賢[シノカワケン]
1950年神奈川県に生まれる。1981年北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。1997年北海道大学より博士(文学)の学位取得。現在、成城大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
terve
32
一冊を読んで実像は全く見えてきません。そういった意味で面白くない本です。ただ、資料を丹念に読み解き、蓋然性の高い説を展開しています。事実のみを積み重ねている、非常に誠実な一冊です。『〜の謎は解けた』といった本より遥かに信用できます。磐井の乱がヤマト政権にとって大きな出来事である。今城塚古墳が継体天皇の墓である。いずれもかなり蓋然性の高い事実であり、ホッとしました。篠川先生は国造制研究の第一人者でもありますが、人物叢書でも緻密な論を展開され、その学識を遺憾なく発揮されています。2020/01/25
紫草
7
継体天皇本人については史料が少ない上、信頼できる史料はさらに少ないため、周りから攻めて妥当と思われる説を組み立てて行く。史料と研究から蓋然性の高い説を選んでいく過程はミステリ読んでるみたいでとてもおもしろい。この時代のことをよく知らないのですが、その周りから攻めてるおかげで、当時の様々な情勢もよくわかり、理解しやすかったです。記紀などの史料も、まずふりがなつきの訓み下し文、その後筆者が要約をしてくれてて親切。まあ結局継体天皇が誰なのか?はわからないんだけど、それは仕方ない。2020/02/15
そーだ
4
史料の内容を史実と文飾とに弁別していく過程が読んでて面白い。判別不能なことはそのまま不能だとはっきり記しているのも好感が持てた。系図は割と好きだけど、継体天皇の出自が「応神記」に接続して形作られていることには気づいてなかった。面白かった。2016/11/04
ソノダケン
4
「応神五世孫説」がはっきり退けられている。継体にも何滴かの血が流れてたかもしれないが、それを言ったら人類みな兄弟だし、どこの馬の骨でも天皇になれてしまう。ほかに宣伝するだけの證拠がないってことは、繋がってないんだろう。2016/06/23
きさらぎ
4
<『人物叢書』なのに最後まで読んでも人物像がまるで判らない、と読者から叱られそう>と結びにある。記紀や百済本記、三国史記などを参考にしつつ、基本的に各記事を「読み下し→要約→記事の信憑性の検討→史実の考察、学説の比較」と一つ一つ丹念に辿っていく。それだけに根気が要るというか、決して読みやすくはないのだが、非常に誠実さを感じる本。ウヂ・カバネを始め当時の仕組みを懇々と説明されると私などはややげんなりしてしまうが(苦笑)磐井の乱前後などは朝鮮半島も絡んで動きがあって面白かった。まずは勉強しないとなー。2016/03/22