出版社内容情報
「殺人があったのは二十二年前の今日――」。ディケンズ『バーナビー・ラッジ』とポーによるその書評、英国最初の長篇推理小説と言える「ノッティング・ヒルの謎」を含む、古典的傑作八篇を収録(半数が本邦初訳)。読み進むにつれて、推理小説という形式の洗練されていく過程がおのずと浮かび上がる、画期的な選集。
内容説明
ディケンズ『バーナビー・ラッジ』とポーによるその書評、英国最初の長篇推理小説と言える『ノッティング・ヒルの謎』を含む、古典的傑作八篇を収録(半数が本邦初訳)。読み進むにつれて推理小説という形式の洗練されていく過程が浮かび上がる、画期的な選集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
108
岩波文庫初めての快挙ではないでしょうか?推理小説集ということでその母国ともいうべき英国の作品を集めてくれました。最初にディケンズの「バーナビー・ラッジ」という作品がありますが、ディケンズはどちらかというと推理小説では未完の「エドウィン・ドルードの謎」の方が有名だと思いますが、次に収められている「エドガー・アラン・ポーによる書評」から選ばれたのでしょう。また「月長石」で有名なコリンズの短編、チェスタトンのブラウン神父ものもあります。「ノッティング・ヒルの謎」が最初の長編で本邦初訳でどれも読みやすい訳でした2023/06/13
優希
45
面白かったです。岩波がミステリーを出版するのは珍しいと思いましたが、骨太で読み応えのある文学性の高い作品ばかりでした。古典と謳っていますが、現代のミステリーに通じる古典だと感じました。全て初めて読む作品で、興味深かったです。2023/10/25
kasim
36
岩波らしからぬエンタメ企画かと思いきや、さすがに骨太な選出だった。イギリス小説に謎と推理が現れ、探偵小説が成立するまでの流れを追い、文学派にもミステリ派にもおいしい一冊。発端はディケンズ『バーナビー・ラッジ』で、まだ連載中なのに〈犯人〉と謎解きをフライングで書評に書いてしまうポーの気負いが面白い。このディケンズとポーの関りと、『月長石』に先立つ中編「ノッティング・ヒルの謎」が掘り出し物。しかし「ノッティング…」は『白衣の女』の影響濃厚で、やっぱりコリンズは偉いなと思った。2023/10/03
ネコベス
31
英国の推理小説黎明期から黄金期のものまで多様な8篇を収録した中短編集。現代の作品と比べると当然洗練されていないが、その分個性的で妙な味わいや迫力がある。ウィルキー・コリンズ「誰がゼビディーを殺したか」、キャサリン・ルイーザ・パーキス「引き抜かれた短剣」、トマス・バーク「オターモゥル氏の手」が良かった。2023/07/22
翠埜もぐら
21
古い推理小説は論理的な部分とか構成とか、結構がばがばな物が多い印象でしたが、普段読んでいる「古い推理小説」よりもう一回り古い推理小説は、思ったより緻密でしっかりした話が多くて驚きました。量産されるとすかすかしだすのかしら。地理的な広がりがこじんまりとしているところなどに時代を感じますね。チェスタトンはホームズなんかと同世代だと思っていたので、選出されていたのにちょっとびっくり。おまけに「イズリアル・ガウの名誉」はホラー風味。チェスタトンのイメージが変わりました。2024/02/04