内容説明
イギリスの詩人ヘリック(一五九一‐一六七四)は、恋人たちに優しく呼びかける恋愛詩など、愛すべき詩を多数のこした。人生は、はかなくて無常、束の間の人生なのだから生きているうちは楽しもうよ、といった気分が基調。訳詩を読む喜びを教えてくれる一冊。
目次
卓上小詩
柳
詩歌こそわがささへ
ダイアニーミに
ヂュリアの息
女ごころ
絹の服
ひなぎく
乙女たちに
はにかむ乙女〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
30
高校生のころに学校近くの書店で買った岩波文庫の1冊。ヘリックの作詩態度の特色は主題を観念的に選び出して、それを核にして知的に理詰めに構成してゆく方法にあります。思えば私が詩集というものをきちんと読んだのは本書が初めて。知らず知らずのうちに私の作詩態度にも大きな影響を与えていたんだなぁと、今回再読してみて感じました。私は大抵、眼前の現実ではなく、観念から出発しますから・・・。2015/06/23
双海(ふたみ)
15
思わずため息が漏れる。何度読んでもすばらしい詩集だ。2017/07/23
双海(ふたみ)
2
古典主義者からの感化…端正で理智的な…そして多少の情熱と官能と茶目っ気と…お気に入りの詩鈔です…2013/02/17
Fumoh
1
生のはかなさを、生のよろこびの中に溶け込ましていき、生の享楽のあいだで、ちょっとばかし人生の重みがあらわれてくる。そんな明るさと悲しさの絶妙に融合したロバート・ヘリックの詩は、本棚の片隅にあると、ほっこりする。世慣れた男性のなかにある、少年のような幼心をあらわしたような詩、素朴でありながら厳かでもあり、明るい酒宴に打ち騒ぎながらも、その中にひとりぼっちとなった悲しみを宿した詩。主観性の大きいロマン派の台頭するまえの素朴な詩です。シェイクスピアの感じによく似ています。2023/03/07