出版社内容情報
時代はしだいに軍国主義の影が濃くなり、自由を重んずる朝倉先生は五・一五事件を批判したために辞職を勧告される。次郎たち五年生は朝倉先生の留任運動を計画し嘆願の血書を認めるのだが、この退職事件に関する態度が激越だったとして、次郎も退学を余儀なくされる。配属将校や思想警察が幅を利かせる思想統制の時代。(全五冊)
内容説明
時代はしだいに軍国主義の影が濃くなり、自由を重んずる朝倉先生は五・一五事件を批判したために辞職を勧告される。次郎たちは先生の留任運動を計画し嘆願の血書を認めるが…。配属将校や思想警察が幅を利かせる思想統制の時代。次郎は中学五年生。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひでお
5
第四部は物語が急展開を迎えます。物語は5.15事件後戦争へと突き進む日本を背景にしているし、この作品がかかれたのは戦後すぐです。第三部と第四部の執筆の間に終戦を迎えていたわけです。だからこそ作者が公然と軍を批判する文章を書けたのかもしれません。今なら高校生の主人公は純粋な正義感や恋の悩みや、この年頃ならば一度は経験する試練をを潜り抜けるわけで、これが読み手の体験を思い起こさせるのか、物語に一気に引き込まれてしまうのです。2021/03/06
しゅんどーん
1
次郎物語が執筆された時期は、三部までが戦前で、この四部からは戦後に書かれたものらしい。時代背景を投影するように、三部までの人間的な温かい雰囲気から、一変して軍国主義への批判へと趣旨が変わっている。時代を超越する物語だと思っていたので、意外さと少し残念な気持ちがあるが、歴史的見地からすればこれはこれで面白い。2023/09/24
icelandblue
0
味わい深い本だと思います。2023/08/27
おちょま
0
本当に馬鹿馬鹿しい時代だったんだな。くだらない時代に真摯に生きようとする次郎に心打たれる2023/04/13