内容説明
構造改革は、日本社会の貧困と社会的排除を拡大した。機能不全どころか逆機能に陥った生活保障のしくみを、どう立て直すのか。つまずいて落ち込んでも、さりげなく寄り添ってくれる人がいる。ひとり暮らしでも大丈夫!―人々が支えあい、性別、年齢、障がいの有無等を問わず、誰もがその人らしく生きられる社会を構想する。
目次
1 日本経済こそが危機―回復のカギは女性の就業率アップ?
2 現実を直視しなかった旧政権
3 生活保障システムというアプローチ
4 「生きにくい」国ニッポン
5 所得と雇用は
6 ジェンダーこそが問題だ
7 政府は何をしてきたか/何をしてこなかったか
8 生活の協同に根ざした福祉政府を
著者等紹介
大沢真理[オオサワマリ]
1953年生まれ。東京大学社会科学研究所教授。政府税制調査会専門家委員会委員長代理。経済学博士。専攻は社会政策、とくにその比較ジェンダー分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヒナコ
4
2000年代の小泉改革による社会保障制度の変更のトレンドを調査するべく、同著者の『現代日本の生活保障システム』と対照しながら読んだ。岩波ブックレットなので、ボリュームも少なく、文体も比較的平易だったのでサクサク読めた。内容としては、『日本型社会保障システム』の内容と重複するところも多くあり、著者の問題意識である、日本型「男性稼ぎ主」モデルへの批判が主題を占めていた。→2021/02/05
ふみかん
1
このコロナ禍で勉強したいと思ったが、古い本だったのと初心者向けじゃなかったので、なんとか内容だけは飲み込んだ、、という感じ。ジェンダー云々の前に高齢化社会への対応があるんだと思うけど、どうなんだろう。その辺の政策の初心者向けの本を読みたいな。62020/04/17
みぃ姉
1
経済オンチの私には、やや難しい部分がありましたが、「男性が働き、女性は家を守る」という旧来の日本のスタイルに添って設計されたまま、社会保険制度がほとんど変更されておらず、現代の日本のライフスタイルにマッチしていないという点においては深く共感できます。レズビアンの方が書いたコラムの中の「特定の人にしか使えない制度。これはあまねく公平な制度と言えるのか?」という文が、深く印象に残りました。2011/01/25
ふれんどぷらむ
0
【自分メモ】 ・2008リーマンショック 日本経済の落ち込みは主要先進国で最大だった ・企業所得が伸びても雇用者所得が停滞しているアンバランスな成長構造 ・所得税制の累進性低下と、社会保障負担の逆進性がさらに低所得者を追い詰める
あゆさわ
0
日本の生活保障について問題点をあげているブックレットです。生活保障のしくみとありますが、しくみの解説はあまりありません。日本政府はジェンダー、貧困、単身者や同性愛者のマイノリティーに対する生活保障についてもっと考えるべきだといった内容です。年金について調べようと思って借りたのですが、年金のことは一ページ分くらいしか触れてませんでした笑 皆が日本の社会構造について考えていけるといいですね∧( 'Θ' )∧2014/05/12