出版社内容情報
書評されました!
読売新聞 2003.1.12 評者:川村二郎氏(文芸評論家)
内容説明
敗者は勝者から否定され、歴史から忘れ去られるのか。北朝初代の天皇、上皇となった光厳院は、南朝の後醍醐天皇や足利尊氏に翻弄され、二度も生き地獄を味わった。歴代天皇から外された悲劇の生涯とその時代を描く。
目次
誕生とその時代
修学と華やかな時代
第一の地獄変
復活と治天の君
第二の地獄変
求法の世界
著者等紹介
飯倉晴武[イイクラハルタケ]
1933年、東京に生まれる。1962年、東北大学大学院修士課程修了。宮内庁書陵部首席研究官、陵墓調査官を経て、現在、奥羽大学文学部教授
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感想・レビュー
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のむ
4
「好きな歴史人物を酷い目に遭わせたからこの歴史人物は嫌い」みたいなガキ理論を使いたくはないんだが、足利尊氏を助走つけて殴りたくなる。そして凄惨極まる番場宿の悲劇、北条仲時による「天皇を守らずして死ぬのは武士の恥、しかし自ら死んだのちに天皇がどうなろうと知ったことではない(→集団自刃)」という理屈は何度読んでも「武士ってクソだな!」とおもわざるを得ない。個人的に「院だか犬だかわかんねえ」土岐頼遠よりアレ。激動の生涯を過ごした光厳院が禅の悟りをひらくというのは、なんとも沁みる。禅ってマインドフルネスだもんな。2018/09/17
ohmi_jin
1
これまでは漠然と北朝=幕府に守られた感じがしていましたが、本書を見ると、確かに六波羅探題攻めと観応の擾乱時に尊氏の南朝降伏で二度も裏切られているのですね。丹波の山奥でひっそりと亡くなった光厳院の最後の心境はいかばかりか。2015/08/08
kaeremakure
1
太平記で酔っ払った土岐頼遠に矢を射られたり、田舎武士に橋から突き落とされたりする上皇として印象に残っていたが、北畠親房のせいで明治政府にまで偽帝扱いされていたとは知らなかった。「直仁親王は実は朕の子なので皇統を継がせる。お前の子は全員仏門に入れるように」と言われた崇光天皇は実際どう思っていたのか。「院と云ふか、犬と云ふか」事件は太平記以外にも史料があったと思うので紹介して欲しかった。2014/11/26
そーだ
1
光厳天皇と直仁親王について知りたくて読んだが、大変参考になった。特に光厳上皇が皇位を直仁親王の系統に継がせようとしていたという事実は衝撃的だった。北朝の歴史を知るのに欠かせない一冊だと思う。著者は光厳院に好意的だが、この天皇けっこうろくでもない人だと思う。光厳院は花園天皇のことをそんなに好きじゃなかったんじゃないかなと思ってしまう。2013/10/09
Waka
0
京極派を学ぶにつれ光厳院について書かれたものをもっと読みたいと願うようになった。そんななか読者様がクリスマスプレゼントに、その他の京極派関連の図書とともにこちらを贈ってくださった。 彼の人生のなかでも番場の悲劇と南山拉致に特にフォーカスした印象。 日本語に少し癖があるが(主語述語の揺らぎ、接続詞の使い方等)、ネイティブであれば読み取れないこともない程度、だいたいの方には大丈夫だと思う。 なお、花園天皇は伏見天皇第二でなく第四皇子ではないか。 「以外な事実」とあったところは「意外な事実」の誤植かと察する。2023/05/04