出版社内容情報
原始仏教から部派の分裂をへて大乗仏教にいたる仏教の思想の流れを,主要なテーマにそって展開。仏教の諸体系における無我説,仏教における慈悲,悪,因果,心などを収録。
内容説明
煩瑣で無味乾燥と思われがちなアビダルマ仏教。その奥に秘められた瑞々しい思索を再評価し、原始仏教から大乗仏教への発展の歴史をたどる。
目次
第1編 伝統的仏教の発展(歴史的社会的背景;仏教信仰の普及;仏教の変容)
第2編 伝統的保守的仏教の思想(討論は真理を解明し得るか?;自我の問題―仏教の諸体系における無我説;生命原理;実有論―説一切有部の立場;心の構造;因果関係;アビダルマの縁起説;悪;〔付〕恥を知る;恩の思想;慈悲の位置づけ;禅定;ブッダ観の変遷;神々;生存領域;餓鬼;地獄;人間;生活倫理)
第3編 伝統的保守的仏教に対する論難(ギリシア的思惟との対決―『ミリンダ王の問い』;シャンカラの小乗仏教批判―『ブラフマ・スートラ註解』における論難;無我説に対するインド諸学派の論難)
第4編 伝統的保守的仏教と大乗への推移―研究の回顧と展望(歴史的背景;教義学の上での諸学派;伝統的保守的仏教の哲学思想;ブッダの伝記;詩人アシヴァゴーシャとその流派;アヴァダーナ文芸)