出版社内容情報
木戸幸一は昭和5年内大臣秘書官長に就任以来,昭和20年終戦にいたるまで,常に宮中府中にあって政治の枢機に参画した.この間克明に記しつづけた日記は昭和史の基本史料として重要である.岡義武を代表とする木戸日記研究会によって綿密に校訂された日記を上下二巻にわかち,(上)巻は昭和5年から12年まで,(下)巻はつづいて昭和20年までを収める.上巻には解題(岡義武),下巻には人名索引を付す. 毎日出版文化賞受賞
1930年内大臣秘書官長に就任以来終戦に至るまで常に宮中府中にあって政治の枢機に参画した木戸が克明に記し続けた日記。昭和史の基本史料。
2004年6月復刊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
8
昭和史における最も基本的な史料のひとつ。上巻は昭和5年〜12年までを収録する。「史料」と聞くと難しそうないイメージがあるが、通読してみると面白い。「日記」という形式上、他人に読ませる著作物のようにはいかないが、昭和という時代を同時代人の目で見ることができるのは、後世からの視点とはまた違った立場でものごとを考えることができる。本書の史料としての重要さは言うまでもないだろう。また、当時の華族にいわゆる「赤」思想がかなり蔓延していたことと、木戸のゴルフ好きも随所にみられる。2020/08/13
こまったまこ
4
東京裁判で重要な証拠資料になった木戸日記。上巻は昭和5年から12年まで。近衛文麿から暇だからという誘い文句で内大臣秘書官長に就任。午前仕事、午後ゴルフ、夜宴会と精力的に動く。昭和11年の226事件では陸軍統制派と連携して事件解決に尽力。私生活の記事もあり、愛妻家、子煩悩の一面も伺える。多忙で家で夕食を取らないお父さんだが夏は毎年逗子に家族で滞在し、そこから出勤している。この半分はゴルフ日記みたいなものを検事も弁護士も判事も読んだと思うと可笑しい。どの辺りが陸軍に不利になったのかいまいち分からなかったが。2016/05/31