感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
82
東山画伯も奈良や京都の風景を愛する人であり、画家ならではの視点で美しい大和路の心象を語る。私自身が歩いた道とも重なり、画伯の美しい文章が感動を呼びさます。まるで何かに導きかれるように唐招提寺御影堂の障壁画揮毫を依頼され、その準備のために日本全国の海と山を訪ね歩く。本当に私も一緒に旅をしているかのような気持ちになる素晴らしい風景描写。一度でいいから実際に御影堂障壁画を鑑賞したい。会津八一博士の「おほてらのまろきはしらのつきかげをつちにふみつつものをこそおもへ」の唐招提寺を歌った歌が本当に心に染みる。2020/03/08
井月 奎(いづき けい)
41
東山魁夷の絵は凄烈です。心の奥底まで届く色彩は工夫を凝らした構図があってこそのもので、しかし鑑賞者にはそのことを強いりません。なぜそのような離れ業ができるのかをこの本を読んで、その一端が見えたような気がします。ヨーロッパでの色彩、京都で完成された日本的性質などを踏まえて大和路に荒々しくも惹かれてやまない「なにか」を見だした画家はその「なにか」をつかむために愚直に線を引き、色を重ねます。命、祈り、人の尊厳、地の力などを鑑賞者に見せるために画家は静かに命を燃やして描いているのです。2020/11/30
i-miya
10
■[読書中]★東山魁夷『唐招提寺への道』(新潮選書)2007.01.00- 11:18 2007.02.26 読了2007/02/26
さきん
4
唐招提寺のふすま絵に関わるという一大プロジェクトに取り組む著者の意気込みと思いが伝わる。奈良・大和に残る美の世界に触れ、四季折々の風物を味わいながら、唐招提寺御影堂障壁画の制作にかかるまでの画道への厳しい精進と遍歴の旅。 2015/07/12
そーすけ
2
201*東山魁夷展のために。「芸術新潮」連載。前半は紀行文的な記述が多く、求めているものとは異なった。感傷的なところが良い。2019/08/01