新潮文庫<br> 怒りの葡萄 〈上巻〉 (改版)

新潮文庫
怒りの葡萄 〈上巻〉 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 468p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784102101049
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

353
1929年にウオール街に端を発した大恐慌の波が、ついにオクラホマにも達した。それは、もはやこれまでの地主と小作人といった関係を一気に突き崩すものだった。銀行資本による大規模な収奪と機械化、さらには綿花の連作による凶作が重なったのだ。しかも、それはオクラホマにとどまらない。彼らは一路カリフォルニアを目指したが、そことてももはや夢の地であるとは思えない。それでも、そこに行くしかなかったのだ。これは、ジョード一家の物語であり、また同時にそうではない。かつて、アメリカの大多数の農民たちが経験した民衆の物語だ。2015/11/15

のっち♬

147
1930年代、オクラホマの農場がダストボウルで耕作不能になり、ジョード一家は仕事を求めてカルフォルニアへ向かう。食事や車の修理など移民となった農家の生活模様から仔細に描かれており「変わりかけている」時勢をありのままに記そうとする意欲を感じる。文章に漂う土の臭いや大地の息吹を物語と有機的に結びつけているのが時折語られるケーシーの説教で、大地と人間の強い結びつきが示唆されている。著者は社会や人間が内包する暗を直視すると共に、多様な考えを持つ人間同士の尊厳や逆境でも不屈の精神を見せるその偉大さを終始讃えている。2017/06/04

扉のこちら側

97
初読。2015年1127冊め。【73-1/G1000】1930年代のアメリカが舞台だが、小作人たちがおかれた状況に、なんだかTPPにより日本の農業への影響、その行く末を思わずにはいられなかった。漢字をひらくのが好みの私には冒頭は漢字が硬くて読みづらかったが、いつの間にか引き込まれていく乾いた大地の物語。お母が荷造りをするシーンと出発前の夕暮れのシーン、これでもかと理不尽さを思い知らされる14章冒頭の地の文が好き。【第6回G1000チャレンジ】【第50回海外作品読書会】【新潮文庫夏のキャンペーン1962】2015/11/13

夜長月🌙

83
人物描写が巧みです。人は絶望の中に見る希望をかなえることができるのでしょうか?舞台は1930年代のアメリカです。農地には多くの小作人がいて貧しいながらも平和で幸福な生活を営んでいました。そこに大規模な凶作が起こり地主は小作人を追い出し大規模農業を始めようとします。持てる者の支配は人々の生活を革命的に変えてしまいます。その中でも人々は人間性を失わず苦難の道を進んでいきます。2019/01/08

かえで

79
ノーベル文学賞を受賞したスタインベックの代表作。その上巻。砂嵐と大資本によって土地を追われたオクラホマの人達。彼らがカリフォルニアへ生きるために命懸けで移動する。その中で中心的に描かれているのがジョード一家。作者による歴史背景とジョード一家の話が章毎に交互に展開されている。何とも骨太な作品。歴史背景と描写の凄まじさ。思わず土の臭いが漂ってくる。土地を追われた人達には冷たい仕打ち、辛い出来事が多く待ち構えているけど、そんな中、寄り添って助け合う人々の姿に思わず涙が。深いテーマを内包している。下巻も楽しみ2017/02/07

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