出版社内容情報
26才スナック勤務の「あたし」と、おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下のダメ系学生風間くんと、ペット亀の「バタ」のほわほわ脱力気味の同棲生活から一転、あたしはリセットボタンを押すように、気がつけばひとり深夜長野の森にいた。人っ子一人いない、真っ暗闇の世界のなかで、自分のちっぽけな存在を消そうと幽体離脱を試みたり、すべてと対峙するかのように大の字になって寝っころんだりしていたあたしの目に、ふと飛び込んできたうす青色の野生の花。その瞬間、彼女のなかでなにかが氷解した――。ゆるゆるなのにギリギリなデイズ。そこで見つけた、ちっぽけな奇蹟。あンたのことが好きすぎるのよ。 今世紀の女子文学に愛の一閃を穿つデビュー作。
西 加奈子[ニシ カナコ]
著・文・その他
内容説明
気がついたらあたしは、真っ暗な山の中で大の字になっていた。しかも、深夜。ひとりぼっちで―。
著者等紹介
西加奈子[ニシカナコ]
77年5月、イラン・テヘラン市生まれの大阪育ち。関西大学法学部卒業。『あおい』がデビュー作
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
57
私にとっては西加奈子さんの作品には好き、苦手と別れるのですが、こちらは苦手。途中でギブアップ。登場人物に感情移入できず、若い感性に戸惑いのみ。2016/10/19
美登利
48
ええなぁ~。なぜか西さんの小説を読むと途端に関西弁を使いたくなります。読んでる途中に友人などからメールが来たりすると、つい打ち込みそうになってしまいます。(笑) もちろん住んだことも無いですし、ずっと使い続けるほどの器用さもないのですけど。これがデビュー作なのですね!やはり割と好きな作家さんだと読んで納得しました。何だかごちゃごちゃしたような、回りくどいようなわかりにくい文体、でも心にすっと入ってきて馴染むような感覚、好きだなぁと思います。とても瑞々しい感じがしました。二作とも良かったです。2014/03/09
どぶねずみ
36
『あおい』と『サムについて』の2部構成。『あおい』が生をテーマにしてるなら、『サムについて』が死をテーマにした話かな。そこまで大袈裟じゃないけど。よくある話で、感動はしなかったな。2016/12/15
K(日和)
33
2018年小説1冊目。「サラバ」文庫版の又吉さんの解説で見かけて。西さんは小説を書くことに対して初めから意識的だったのかなぁ。加えて何かしらのマイノリティである人を散りばめることにも。2018/01/07
atori
32
作家生活10周年記念作品「サラバ!」を読み終え、もう一度デビュー作に立ち返って読んでみたくて再読。 最近の作品の方が、言葉の使い方に慣れて格段に表現が自由になっているなと感じながらも、デビュー作の段階で西さんの持ち味や個性は至る所にあらわれていた。 決して立派なものや誉められたものじゃないけど、手探りでどろりとしていて純粋な、20代後半の気持ち。 時々、ぐっと刺さる言葉が現れる。「誰かのせい云々」の記述には痺れた。「サムのこと」のアリは一編目の二人の子? というか文庫はもう一遍入ってるの? 読みたい!2014/12/02