内容説明
日本に巨大な漫画文化を築き、つねにそのトップランナーとして疾走しづつけた手塚治虫。アトム、レオ、0マン、火の鳥などのキャラクター、差別と反坑、生と死、歴史と正当性などのテーマ。苛烈な戦後空間をくぐりぬけた天才の燃える作品宇宙に迫る。
目次
1 宝塚という不思議な空間
2 マンガ家誕生
3 レオとアトムは何を語っているか
4 政治の季節のなかで
5 アニメーションとの苦闘
6 復活する巨人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
showgunn
18
手塚治虫が漫画史にどんな貢献をしたかということと作品の評価と本人の人間性が混同されずに書かれていて、ファン故に無闇に褒めまくるような内容ではなくてよかった。どういう時代にどういう作品を描いたのか、というのもわかりやすい。1990年に出版されたもので、リアルタイムでファンだった人が書いた本なので今の人が書いたら全然違う内容になるだろうなと思った。2016/10/26
佐島楓
16
ファンとしてはすでに知っていることが大半を占めていたが、三島由紀夫をライバル視していたという記述が興味深かった。父親への嫌悪、戦争体験から来る秘められた破壊衝動、それらが力を得ると、表現への爆発的なパワーとなったのかもしれない。2013/02/24
オランジーナ@
2
著者のこじつけが多い2017/06/27
富士さん
2
再読。手塚治虫についてとりあえず押さえておかなきゃなぁ、と思っていた時にブックオフのワゴンセールで買った本。でも、意外と拾い物でした。専門の研究者ではなく、同時代を生きたいちファンの手塚伝というのがいいですね。思いがこもった記述と学者としての手堅い資料の使い方がバランスよく盛り込まれています。手塚治虫は昔からキャッチーな流行マンガ家というよりは、前衛的なマニア向けだったという著者の思い出は、生涯通じて見られる“死”への親近感への指摘も加えて、アニメ関連で語られる手塚観と関連して興味深いものがありました。2015/11/12
u17
1
手塚治虫の生涯をたどり、発表された漫画とそのときの世相、作者の境遇を照らし合わせたまとまりのある本。手塚治虫と三島由紀夫を関連付けて考えたことはなかったので、手塚が三島をライバル視していたという話は興味深かった。2013/11/09