感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
羽
18
西行と定家。平安末期から鎌倉初期にかけて乱世を生きた歌人たち。旅先の草庵で月や花を愛で、心に浮かんだままを詠んだ西行。机上でうつくしい表現を求め続けた唯美主義の定家。その生き方や作風は対称的だが、両者にとって歌とは、心を鎮める呪文であり、憂き世のなぐさみでもあった。感染症の蔓延という乱世を生きるわたしたちにとっても、西行や定家の生き方から学ぶものは多い。刻一刻と状況が変わる中、色褪せない和歌とその解説を読む時間は、日常を忘れされてくれた。2021/03/20
Waka
0
1箇所を除いて激しく頷きながら気持ちよく読んだ。残念だったのは、定家が式子内親王に恋に近い感情を持っていただろう、という箇所。「こうに違いない」という根拠が薄いのではないか、という気持ちになるところがいくつかあったが、この恋云々のところにはことさら「これだけまともな本を書くあなたもこんな素人みたいな事を言うのですか? 」という残念な気持ちになった。それはともかく、子規茂吉の悪弊に呑まれず思索を進めたのがわかる文章、まともなところは非常にまともなので、いくつもブログなどに引用させていただいた。2020/06/17