出版社内容情報
各時代に生きた人々の精神に触れながら,日本美術の思想と特質を解明した画期的なシリーズ。「仏教の幻惑」は,飛鳥・白鳳美術の第一人者である上原和が,きらめく仏像に圧倒されて,熱狂的な仏教信者となってゆく当時の人々の心を探り当てる。
内容説明
政治と宗教という、二つの点を中心として、我々はここにさまざまな仮説を提出した。その仮説は完全であり、我々はこの全集をもってすべての美術のジャンルを網羅した、とは到底言えない。しかし客観的で網羅型の今までの美術全集に対して、我々は敢えて新しい仮説を主体的に提出する破天荒な美術全集をここに試みたのである。
目次
序章 大いなる旅
第1章 摩尼宝珠の魅惑―仏教伝来
第2章 聖徳太子と斑鳩コロニー―法隆寺の創建
第3章 敗戦と浄御原朝―激動する東アジア情勢
第4章 不死鳥の寺―法隆寺再建
第5章 華麗なる飛鳥幻想―高松塚と朝鮮文化の残照
著者等紹介
上原和[ウエハラカズ]
成城大学名誉教授
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
3
仏教の日本伝来から白鳳文化までを写真豊富に紹介している。仏教と日本というのは相性が余程よかったみたいで、日本古来の神々と融合しつつ現在に至ります。人間の思惑が廃仏毀釈などの働きになるが、半跏で見下ろす菩薩様は苦笑いだったでしょうな。法隆寺の救世観世音菩薩像の見る角度によっての印象の違いはなんなのでしょう、寒気がするほど恐ろしい表情にも慈愛あふれる微笑みにも見えます。一度じっくりと拝見したいものです。2015/06/09
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
0
重厚1.3kg。さすが梅原猛監修、中身も哲学的で重厚。「その美術品が高価であればあるほど、それは政治と関係を持つのである。政治家の思想、野心、怨恨、憎悪などが美術品の背景に隠れているのである」。歴史がわかりやすい。金堂の名前→当時仏像は金人→仏教伝来時、思想より金箔の仏像が流行った→本来仏教に仏像ないが(恐れ多い)、中国での仏教伝来時、古代道教に食い込むための布教ツールとして発展した→仏像が人の形をしているのはガンダーラのグレコローマン的文化風土(人の姿の神々@ローマギリシャ文化)のもとで生まれたから。2019/10/22