出版社内容情報
１９６５年１１月のベトナム・アメリカ軍の４日間の攻防を描いた壮絶な戦いの記録。戦場に散った両軍の兵士たちへの鎮魂歌。
内容説明
アメリカ史上最も長い戦争となったベトナム戦争。その長期化の原因といわれ、最初期の過酷な地上戦として知られるのが、イアドラン渓谷での激戦だ。ヘリで戦地に降り立ったハル・ムーア中佐率いるアメリカ空中機動騎兵部隊四五〇名は、瞬く間に二〇〇〇の北ベトナム兵に取り囲まれる。ヘリの着陸地点（Ｘレイ）に釘付けのまま死闘が続き、激しい敵襲の前に救援ヘリも着陸不能。最悪の戦況下、渓谷は夜の闇に包まれ、これ以上の犠牲に耐えられないムーアは決死の作戦を敢行する…。全米大ベストセラー・ノンフィクション。
目次
第１部 戦争に行く（激戦；紛争の根 ほか）
第２部 Ｘレイ（イアドラン渓谷へ；戦闘開始 ほか）
第３部 オルバニー（昼間の行軍；地獄の殺戮地帯 ほか）
第４部 戦いの後（電文で語られたこと；国防長官はお悔やみの言葉を… ほか）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Cornelius
40
イアドラン渓谷にてベトナム軍に包囲されたアメリカ空中機動騎兵部隊の決死作戦を描いているのだが、圧倒的に有利だったはずのアメリカが、初頭から相当な苦戦を強いられた様子が描かれている。この本の表紙には、映画版で主人公を演じたメル・ギブソンが載っている。そのため、演出じみた表現があるのかなと思って読み始めたが、実際は戦記と言ってもよいくらいに中身のある本だ。残念なのは部隊配置などの略図がないため、誰がどこで何をしていたかがわかりずらかった。(映画を見ろということか…)2016/07/21
tacacuro
2
本書の映画化作品を何度もみて、ヘリコプターによる空中突撃という新戦術の訓練の様子や戦闘シーンがリーダーシップの教材になると、後輩に鑑賞を勧めてきた。ようやく原作の古本を入手したところ、映画は、原作が物語る激戦のうち北ベトナム軍を何とか撃退した前半部分のみを描き、手ひどくやられた後半部分は全く取り上げていないことがわかった。むしろ、本書のメインテーマは、後半の悪夢とそれを隠蔽しようとした軍の姿勢（当時の作戦日誌は30年近く後の出版時まで発見されていない）の告発にあったのではないか。2020/06/21
