岩波文庫
詩本草

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  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003028018
  • NDC分類 914.5
  • Cコード C0195

内容説明

富士登山の粥、伊勢四日市の蟹、舞阪の桃…。江戸時代後期、遊歴の漢詩人柏木如亭が、行く先々で口にした美食と、旅の記憶に漢詩を結合させた随筆。漢文体ゆえにあまり知られてはいないが、『随園食単』『美味礼讃』に匹敵する魅力的な一品。

目次



酒旗
酒茶と詩文
宇治茶
緑豆茶
蕎麦
蔬菜
松蕈
蕈狩りの怪異〔ほか〕

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テイネハイランド

9
江戸時代の漢詩人柏木如亭のグルメ本。江戸っ子で大工の棟梁だった如亭は、吉原で遊びすぎて大工を辞し、以降は諸国を漫遊する放浪詩人になった。如亭の文章/詩からは、江戸時代のある意味自由で爛熟した文化を感じ取れる。揖斐高さんの丁寧な校注のおかげで現代人のわれわれが読んでも楽しい本となっている。15段の蟹、18段の鮭、31段の魚の塩漬け、38段の今日の名品、44/45段の魚飯などが印象的。2015/12/13

零水亭

7
食事内容も興味深いですが、江戸後期の新潟、京都などの各都市の状況も簡潔な文章ながら読者に伝わってきます。キノコに関する怪談なども載っています。「美食の本」ですが、高価な食材だけではなく庶民の口にする食材の方も多く、好感が持てます。『訳注聯珠資格』(こちらも柏木如亭著、揖斐高注)と同様、現在岩波文庫では絶版と思われますが、ともに重版が希望されます。2019/11/30

壱萬弐仟縁

6
如亭は信州で養子、医業(245-6ページ)。中野の詩社「晩晴吟社」にて活躍(248ページ)。書名は李時珍『本草綱目』(1590年)に由来(12ページ)。7は蕎麦(30ページ~)。中野の門人木百年(小峰)と如亭が信越を遊歴(33ページ)。12の阿諛(あゆ)~は32の河豚(かとん は漢名132ページ ふぐ)までは魚介系の話。野沢温泉にも滞在していた(80ページ)。だから新潟も頻出する。160ページにある魚介類の名前の難解な漢字は不慣れだ。39は「信州の禽獣」は野味(趣)溢れる(169ページ~)。結構美食だな。2013/02/22

にゃん吉

4
江戸後期の漂泊の漢詩人が遺した主に旅と食に関する随筆。注釈、解説が充実していて、中国の故事、漢詩をふまえた表現も多いのですが、どうにか読めました。当時、野生動物を結構食べていたのが分かる件(三十九段)、当時本邦で口にできないライチを南面王、他の果物は相将吏卒と評し、書物で目にするにつけ、食べたくてヨダレを流すという件(四十七段)など興味深くありました。放蕩を尽くし、旅に生き、当地の風流人、門人との盛宴、清談とともに美味いものを食べ、風流に徹した如亭は、解説にもあるとおり、真のエピキュリアンかと。    2020/02/11

feodor

3
美味随筆的な漢詩なのだけれども、なかなか美味しそうな話もあってよかった。やはり、江戸の人にとってはウナギのかば焼きは立派に江戸の風物であったのだなあ、とか、蟹好きだったらしくて、そこはやはり長々と書かれていたりとか、転々と放浪した詩人らしい詩情にあふれた食の話は、漢文書き下しではありつつも素晴らしくうまそうな話が満載だった。タイトルはどちらかというと、百科事典的な李時珍『本草綱目』に対する漢詩版だぞ、という対抗意識からみたい。2011/10/22

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