出版社内容情報
明治日本の自己形成とともに国家統合の絆として創出された「国語」.それをめぐってせめぎ合うイデオロギーの展開を上田万年・保科孝一らの言語思想を軸に克明に跡づけ,思想としての国語の歴史を描きだす画期的力作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
牛タン
4
内容:明治~終戦までにかけて展開された、「国語」の創造に関する論争。言文一致、漢字廃止、標準語の制定などを唱えた「革新派」の上田万年、保科孝一らの思想を中心に紹介する。言語思想史。 感想:いま自分たちが当たり前に使っている言葉の歴史を知ることができたのはとてもエキサイティングだった。加えて、国家・民族と言語の不可分な関係、言語政策にみられる植民地主義の思想的基盤、西欧の言語学による「国語」の概念の理屈付けなどの話も非常に興味深かった2016/11/28
あだこ
2
「国語」思想を構造主義的に二項対立で解きほぐしていく。幻想としての内面性-政策としての外面性、国語学-言語学、仮名-漢字。それらの混合が皇民化教育へと繋がる「国語」政策であって、その混同は現在は解決されたとは言えないだろう。2009/06/20
Yonda
0
誰もが知っている「国語」という言葉に含まれる歴史を学べる名著でした。2017/01/06
КИТАРУ МУРАКАМУ
0
面白い。上田万年、保科 孝一の「近代言語学者」たちの系譜から「国語」の像を貫いていく描き方はおもしろい。これは刺激的。2011/06/29
ねぎとろ
0
「国語」成立の歴史社会学。