内容説明
中学校入学の日、担任になった先生が僕たちにこう言った。「ここにいる21人が今日から卒業までの仲間です。そして、なんと21世紀に、21歳になる仲間です」なんでもない、他愛もない、ただの偶然。でもその偶然が重なって集まった仲間が21人いる。その事実が僕たちに強烈な連帯感をもたらした。21世紀に、21歳になる21人。僕たちは“21”というもので繋がれた仲間。21・21・21。“twenty one”だ。そして、ずっと変わらない仲間だと、無邪気に信じていた…。なぜ自ら死を選んだ?僕たちに何も告げず。特別な絆で結ばれていると信じていた人を突然喪ったとき、胸に込み上げる思いをどうすればいいんだろう…。大きな注目を集める著者が“生きていく意味”を深く問いかける感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミーコ
50
皆 自分が原因かも❔と思う 晶の自殺の真相って❓と気になり 読み進めました。こんな強い絆で結ばれたクラスメイトっていないだろう・・・とは思うのですがー。羨ましくも有り… しかし、自殺の原因が弱く感じるけど それだけ晶がピュア過ぎたのかー。複雑な気持ちの残る作品でした。2015/12/10
ゆみねこ
46
21世紀に21歳になる21人のクラスメート。当時26歳の若い担任女性教師に言われたひと言で仲の良いまとまったクラスになった仲間たち。10年の時を経て、1人の男子が自殺する。何故自ら死を選ぶのか、残されたクラスメートの悲しみと困惑。心温まるラストとは行かなかったけれど、じんわり印象に残る作品。2013/10/04
だんたろう
37
嘘をつく意味について考えさせられる作品。いって良い嘘と悪い嘘があると言われるが、必要な嘘と不必要な嘘について考える。必要な嘘が相手に対して本当に必要なのか、よくよく考えると、自分が必要なんじゃないかと思う。そう考えると、必要な嘘なんてないのか。嘘をついた方が丸く収まることはあるけれど、そもそも収める必要があるのか。その方が自分が楽なだけじゃないのか。馬鹿正直って、いいことなのかもしれない。答えではないけれど。2012/09/04
ジュール リブレ
28
小路幸也さんの小説にしては珍しく底辺に暗い深いベースの音が響き続けた一冊。2005年の1シーンから、その後の数日間。そして、エピローグ。21人の同級生が、それぞれに自戒して思い起こす人生の罪深さ。そして真相。いい仲間との、そのいい関係を保ち続けるのもまた難しい。2014/02/17
tera。
27
小路さんの作品にしては重苦しい内容だった。特別大切な仲間がいるのなら、歯を食いしばって生きてほしかった。21人の人間がいれば、21通りの考えも悩みもあると思う。何でも声高に言えば良いという事ではないけれど、最後の最後に支えになれなかったとしたら、友達としてこんな悲しい事はないと思うのだ。 彼の死によって人生の軌道を修正出来たり、新しい一歩を踏み出せた仲間が居た事が救いだった。『生きていくことが、幸せへと向かう唯一の手段だと思っている』同感だ。2014/04/09