出版社内容情報
2015年の小説すばる新人賞作家による、注目の受賞後第一作。サメを飼うことを人生の目標にしているキャバクラ嬢の物語など、痛快な毒気を含んだ大胆不敵な物語センスが炸裂する、全6編の短編集。
渡辺 優[ワタナベユウ]
内容説明
痛快な毒気をはらんだ物語センスが炸裂!自殺未遂を繰り返す女が、入院先の病院で決意する最後の日の顛末とは?―「ラスト・デイ」。冴えない男が事故で手を切断。新型の義手で人生を一発逆転する力を手に入れ―「ロボット・アーム」。メンヘラ気味のキャバ嬢のたったひとつの生きがいは、サメを飼うことだった―「サメの話」。新感覚フィクション、怒涛の全7編。
著者等紹介
渡辺優[ワタナベユウ]
1987年宮城県仙台市生まれ。大学卒業後、契約社員として働きながら小説を執筆し、2015年に「ラメルノエリキサ」で第二八回小説すばる新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁かな❁
182
わー!コレめっちゃ好きー♡センスがとてもいい♫生き辛い人達が出てきて重いお話になりそうなところ、とても温かい気持ちになるお話ばかり*小説すばる新人賞受賞後第1作!ほんと毒気とポップさのバランスが良くすごく楽しめた♡独立した短編5編とラスト2章は連作短編。ラストのサメのお話は涙。涼香のように特別サメが好きではないのにサメのおサメ柄(笑)の良さに好きになった♡サメの言葉が沁みて癒される*特に最終章お気に入り♪読了後振り返ってみてどの章もそれぞれ魅力的でやっぱり甲乙つけがたい!新しい才能に乾杯☆今後も楽しみ〜♡2018/03/29
あも
88
どこかの誰かのありふれた絶望。消費され受け流され素通りされる欠落と虚無。そこに意味を与え手にとってもらうためには暴れ出すかカラフルでポップな糖衣でそれを彩るしかないのかもしれない。死にたい死にたいと甘美な死を転がし精神病棟に入院する女の話から、事故で右腕を切断した男性が義手の強化にアイデンティティを見いだす話、明晰夢を見ようとする大学生、そして喋るサメを飼うキャバ嬢。どこかの誰かの見た夢の泡沫は人々の営む無数の灯りを見下ろす夜空に浮かび、パチンとはじけて消える。現実を生きるための苦くて優しい奇妙な夢たち。2020/01/16
ゆかーん
85
「私は死にたい。本当に死にたい。心の底から死にたい。」という過激な文章からスタートし、このままどうなるのかドキドキしましたが、短編集だったので気持ちがナイーブにならずに読み切れました。どの話も、一風変わった主人公が登場するため、『世にも奇妙な物語』を読んでいるかのような感覚に襲われます。サメと会話するキャバ嬢の私生活や、「吾輩はサメである」と語りキャバ嬢を見守り続けるサメなど、現実とは似て非なる世界に面喰いました。それでも、この独特な世界の虜になったのは、私の心もぶっ飛んでいるからなのかもしれません…。2017/06/19
ゆみねこ
79
渡辺優さん、デビュー2作目。夢と死をテーマにした7編。美術館で絵画の模写をする男性と絵を依頼する女性を描いた「彼女の中の絵」が好きです。若い才能の可能性にますます期待が持てます。渡辺さんの次作を楽しみに待ちたいですね。2017/03/06
papako
68
面白かった。ちょっと生きづらい人たちの短編集。どれも、最後は前向きに終わっていく。そんな中『虫の眠り』だけは後味が悪い。『ラスト・デイ』はらはらした。終わっちゃうのかと思った。これから始まるので、身構えてしまいます。『サメ』二篇はいいなぁ。ただ主人公に言葉遣いがちょっと。それでも『サメ』の言葉にすがって、動かされて、前を向いていく。レノさんや、小林との交流がなんかいいなぁ。また新作出たら、読みたい。2017/07/02