内容説明
「医者としての原点に立ち返りたい!」。勤務先の病院を辞して「国境なき医師団」のミッションに参加した外科医師が自らの体験を語る。赴任したアフリカ・リベリアで見たものは、紛争や貧困の中で充分な医療を受けられずに命を落としていく患者たちの姿だった。劣悪な環境の下で困難に立ち向かった壮絶な医療活動の記録。
目次
プロローグ
1章 ミッションはじまる
2章 痛い経験
3章 スタッフの面々
4章 リベリアでの生活
5章 体調を崩す
6章 忘れられない患者
エピローグ
著者等紹介
久留宮隆[クルミヤタカシ]
1959年生まれ。三重大学医学部卒。外科医師。国境なき医師団日本支部副会長、山本総合病院手術室部長。外科医師として二〇年の勤務ののち、済生会松阪総合病院手術室部長、外科医長を辞して国境なき医師団に参加。2004年にリベリア、シエラレオネ、09年にナイジェリアとスリランカで派遣医師としてミッションに参加。リベリアでは緊急医療に従事し、三カ月間に約三五〇件の手術をこなした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅花
13
医療に携わるものとして、医療側も患者側も厳しい環境での医療を知ると言うことは、医療の原点を知ることだと思った。何もかもそろっている環境からは生まれないものもある。最後の頭部外傷の手術は何よりもそれを教えてくれた。ジュニア新書は、全体をわかりやすく書いてあり、最近のお気に入り。2018/07/30
ひとみ
7
決して情勢がいいとは言えない国や地域で医療に従順するというのは、経験のある医師でも予想も予測もできない厳しい環境。完璧な医療機器がそろってない程度に差があるものの日本のまちのお医者さんに重ねることもありました。また、ウィルス性の病気にかかるとその部落では村八分にされるなど、ここ日本でも対岸の火事にはできない話もあり、正しい知識、正しい対応をしらないということの恐ろしさも考えました。2015/11/10
亀造
5
自分は将来、医療関係の仕事に就き、病気の人々を助けたいと思っている。この本を読んで、医療に対する考え方というものを学んだ。2012/12/24
ヤマセミ
4
リベリアで外科医として活動した医師の記録。産婦人科の手術が半分だとか、スタッフの殉職は交通事故が多いとか、意外なことの連続。厳しい医療環境の中で日本の医療不審は医師と患者のコミュニケーション不足が一番の問題と考えるようになったことはとても重いと思う。日本の医師は病院を辞めないと海外援助活動ができないというのは、大きな目でみれば、日本の医療にとって損だと思う。岩波ジュニア新書は、わかりやすくて読みやすくて、大人が読んで十分に面白い。2015/07/03
ネコタ
4
国境なき医師団に参加している筆者が書いた本。物がないところでの医療の大変さやいろいろな国の人たちとのチームワークの大切さなどが書かれている。エピローグの日本の医師はボランティアに参加しづらい環境にあるというのは深刻な話。2013/08/11