出版社内容情報
日本の原子力政策への米国の影響は？日本保有のプルトニウムの評価は？日米原子力協定の行方も見据え、日米外交の観点から提言。
内容説明
なぜ日本はプルトニウムをためつづけるのか？２０１８年、日米原子力協定が満期を迎える。プルトニウムをめぐる日米の相克を、詳細な調査によるファクトから読みとく。
目次
第１章 日米原子力協定
第２章 米国の原子力政策
第３章 再処理をめぐる日米関係
第４章 ３・１１後の米国からの影響
第５章 二〇一八年、原子力協定はどうなるか
著者等紹介
鈴木達治郎［スズキタツジロウ］
長崎大学核兵器廃絶研究センター長。１９５１年生まれ。１９７５年、東京大学工学部原子力工学科卒。１９７８年マサチューセッツ工科大学プログラム修士修了。工学博士（東京大学）。２０１０年１月より２０１４年３月まで内閣府原子力委員会委員長代理をつとめた。パグウォッシュ会議評議員
猿田佐世［サルタサヨ］
弁護士（日本、ニューヨーク州）。新外交イニシアティブ（ＮＤ）事務局長。１９７７年生まれ。早稲田大学法学部卒。２００２年に弁護士登録。２００８年コロンビア大学ロースクールにて法学修士号取得。２００９年米国ニューヨーク州弁護士登録。２０１２年アメリカン大学国際関係学部にて国際政治・国際紛争解決学修士号取得（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
42
包括事前同意方式：予め一定の条件を定め、その枠内であれば再処理等の諸活動を一括して事前に承認する方式（８頁）。再処理：使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する技術（２５頁）。消費のあてのないプルトニウムを日本だけが特権的に生産できることは、米国の核不拡散政策の推進を難しくしている（３６頁）。２０１８年問題：日米原子力協定の有効期限が切れる問題。再び包括事前同意を取り付けられないと、日本は再処理政策の見直しを迫られる（４０頁）。2017/02/13
coolflat
17
日米原子力協定。最初の協定は1955年の研究協定であり、次いで協定の範囲を動力炉まで拡大した1958年のいわゆる一般協定、商業用軽水炉導入のための包括的な1968年協定、そして現行の1988年協定が結ばれてきた。この現行協定はこれまでの協定とは異なり、再処理について30年間一括で同意を与える「包括事前同意方式」を採用した。現行協定は30年を経過した2018年7月に満期を迎える。もっともその規定上、直ちに協定が失効するとはされておらず、6ヶ月前に日米のいずれかが文書によって通告しない限り、協定は終了しない。2017/05/25
加藤久和
10
小冊子ながら内容が濃い。アメリカは使用済み核燃料の再処理(プルトニウムの抽出)を認めないが、日本はそれを無視し全量再処理することに固執している。原発再稼働ははかどらず、またどうやら高速増殖炉もんじゅは廃炉へと向かいそうだ。宙に浮いたプルトニウムの在庫は増えていく一方で、これに対するアメリカの視線は厳しい。アメリカとの摩擦のリスクを抱えてまで再処理にこだわる日本政府の思惑とは何か？日本は本当にアメリカの従属国なのか？アメリカによる外圧とは言うがそれは具体的に誰の意思に基づいているのか？などの問いかけが鋭い。2016/10/26
イボンヌ
9
日本の原子力発電がいかにして始まったか、そして何故廃止できないのかなどがみえてきます。再処理が止められない三つの理由も書かれています。 日米原子力協定が２０１８年に満期になります。 どうなるのでしょうか2017/02/16
乱読家 護る会支持！
4
アメリカではシェールガスにより、原子力産業は斜陽産業になっている。米国の原発推進派からは、日本の技術力はパートナーとして抜けられては困るが、再処理施設により日本に将来核兵器を持たれる事を懸念する層からは、原発推進はOKだか使用済核燃料の再処理については賛否が分かれるとのこと。この問題、私も熱く語れる知識が無いので、、、引き続き、勉強しまする。2017/03/25
