内容説明
野州・真岡の小栗一家と竹原一家の大喧嘩にやとわれて人を殺めてしまった渡世人たち―その不幸な生い立ちゆえに敵・味方をこえて結ばれる男と男の友情を描く連作「さいころ蟲」「あばれ狼」「盗賊の宿」。多淫な母親の若き日の嘘によって翻弄され続けた樋口角兵衛の生涯をたどる「角兵衛狂乱図」など、畢生の大作『真田太平記』の脇役たちを描いた4編の、全7編を収録。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ともくん
51
全七編の短編集。 前四編は、連作短編。 後三編は、真田家もの。 ひとつひとつの物語は、池波正太郎らしさがあるが、これを一緒に収録するのは、少し無理があるかもしれない。 前四編の連作短編で一冊にしても良かったのではないだろうか。2020/11/06
優希
45
連作短編4遍と真田もの3編からなる作品でした。渡世間の友情には青春を感じます。真田ものは文句なく面白かったです。『真田太平記』を再読したくなりました。2023/03/11
R
40
池波先生の股旅物。こういうジャンルも書いていたんだと感激して読んだんだが、股旅物であるが、濃厚に池波小説の香り漂う大変面白い短編集だった。盗賊が出てくるあたりとかが、いかにもと思ったのだけども、全体的に色濃い人情劇で、他作品でもモチーフとしていた過去や因縁を隠していたうえでの人情の発露といったものがよろしく、かっこいい生きざま、あるいは死にざまが描かれていてすごく感動した。死を礼賛するわけではないが、生きた結果が死だという美しさがある。2023/08/05
ロデタ
17
短篇集。どのエピソードも面白い。樋口角兵衛、鈴木右近の真田太平記と結構重なるエピソードが収録されているが、これに関しては真田太平記を読む方が面白いかな。真田太平記を読んでそんなに経ってないのにもう一回真田太平記を読みたくなった。2022/05/08
Kira
16
購入しての三読め。後半の真田もの三篇を理解できなかった二年前に比べると、今は真田信之に魅かれている。その信之に仕えた鈴木右近をテーマにした「男の城」を興味深く読んだ。信之の死後、大殿亡き後に生きていてもしかたがないと、後追い切腹した右近の生きざまと死にざまが熱い。2022/07/28