講談社現代新書<br> ヨーロッパ「近代」の終焉

講談社現代新書
ヨーロッパ「近代」の終焉

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784061490888
  • NDC分類 230.5
  • Cコード C0220

内容説明

「近代」の旗標の下、世界史をリードしてきたヨーロッパに起きている大変動。東欧市民革命、ソ連の消滅、EC統合…。合理主義、ヒューマニズム、科学への信頼など、「近代」を支えた価値のゆらぎと行き詰まりの中で、ヨーロッパはどこに向かうのか?歴史の読み直しを通して新たな座標軸をさぐる。

目次

第1章 ヨーロッパ「近代」の歴史像(文明史観の偏り;「地理上の発見」;「古代」終焉の裏側;宗教の時代「中世」;ルネッサンスと宗教改革;宗教改革の近代性;言葉としての「中世」)
第2章 ヨーロッパ「近代」の社会像(地理上のヨーロッパ;理念としてのヨーロッパ;歴史上の「近代」;市民革命;産業革命と資本主義社会;資本主義の時代;日本にとってのヨーロッパ「近代」)
第3章 ヨーロッパ「近代」の人間像(大人の文化;男性中心の社会;白人優越の時代;人間主義の驕慢)
第4章 ヨーロッパ「近代」の世界像(デカルトにみる近代合理性;合理主義精神と方法的思考;真と偽のあいだ;“二値論理”とファジー;民主主義の嗤い)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

19
これは基本書と言っていい名著。ポストモダンとか現代思想が時代の前提にして批判する「近代」の構造をその歴史、思想両面から解き明かそうとしている。本業が歴史学者だけあって、浮わついたレトリックに頼ることは少なく、堅実に資本主義や市民革命とそれに至る歴史を整理しているのが長所。人間中心主義、理性中心主義への考察もベターにまとまっている。評論好きの学生ならいの一番に手に取っていい本だ。参考文献も代表的な名著を並べていて後学の助けになるだろう2012/06/01

またの名

11
他宗教を侮辱する風刺画でも表現の自由という価値観に基いて擁護するのは典型的な西洋中心主義の匂いがするけど、そうした価値観への嫌悪を表明する権利さえも保証してるのが西洋近代の価値観。パーフェクトで隙がないように見えるとはいえ、近代の価値観が称揚する権利を十全に享受できた人の中に精神病者は入らず、女性も子供も非白人も含まれてなかったことを示す典型的な現代の議論を手軽く学べる格好の新書。曖昧さを許さない二値論理や民主主義の問題もあまり観念的にではなく手堅く説明。しかし近代批判もまた西洋から興った運動ではあった。2016/05/07

あんころもち

11
西洋、近代といった言葉を考えてみるところから始まり、人間中心・二者択一といった今の社会の物の考え方を問い直す本。なかなかこびりついて取れないであろう近代的な考え方を具体例を用いて相対化させる手腕は見事である。また、構成もよく整理されていて分かり易い。読後に残るのは「では一体自分はどこにいるのか」という気持ち悪い感覚である。2015/03/30

ミツ

8
素晴らしい。いくつかの疑問点や傲慢で鼻息の荒い物言いに目をつぶれば、確かに高校生のうちに(特に文系学生は必ず)読んでおくべき本だろう。 前半は近代とは何か、主に歴史的変遷を中心に話が進み、後半は近代の人間像、世界像に対する批判を行う。 良くも悪くも一般教養レベルで、新しいものを提供してくれることは無いが、その新しいものについて知るために最低限必要な知識がわかりやすく、上手にまとめられている。佳作。2010/05/07

新父帰る

7
26年前に出版された書だが、現在でも色褪せることなく考えさせられる名著。「近代」を自然科学、経済史、政治的分野から分析。中世の教会権威から解き放たれたルネッサンスと宗教改革よって齎された「近代」。それによって成立した絶対主義国家から市民国家。自由を謳歌したはずの市民が二度の大戦と経済的・地球規模的な危機に直面。その対処すべくECを設立することによって、反対に「近代」国家は政治・経済の足枷になるというパラドックス。現代のブレクレジットとトランプの一国主義を彷彿させる問題を提起している。著者の視座に感服した。2018/10/28

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