... 無常を生と対立し忌避すべきものとして捉え、それをのあはれ〉によって乗り越えようとするところから無常感の切迫のうちに出家を果たし無常を〈敵>と見做してこれに対峙するところへ変転をとげるこの表現主体が、第一三七段においてそのような出家による無常 ...

... 無常感が文学への通路を見出しているのであるが、ただ「物のあはれ」の場合と異るのは、無常感がそういう否定的契機を孕む必然性であるだけに、いつも悲しみやいたみとして捉えられているということ、それから無常感がいつもそれだけにとどまっているの ...

... 無常感の文学」というとき、それは、独自の意味を持っている。無常という理念は、一般には中世文学の特質とさ【解説】そこには無常こそ真実と観じて、現世的な虚妄を超えた世界に真の実在を見ようとする志向がうかがえる。このような無常感の伝統は ...

... 無常観」を主題と見るのは通例であるが、亀井勝一郎『無常観』(昭和 34 年)は、仏教的無常観が「無常美感・無常哀感」となって『平家物語』ほか日本文学に浸透すると洞察した。同方向に考察を進めながらむしろその主題性を否定したのは小林智昭『無常感の文学 ...

... 文学」昭和 38 年 11 月)は、右の永積説に対して、無常思想の働きかけを『平家 ... 感の文学』(昭和 38 年)は、日本文学における「無常」は、「一つのれっきとした世界観というには余りにも情緒的であり、詠嘆的 ... 無常観の評価をめぐる論争が本格化した。

... 無常感と文学では、仏教文学の定義が、人間的であろうとする欲求と、生地のまでは人間的である事を超克しようとする思念との火花を散らす世界で、火花が熾烈であれば仏教文学としての光輝は強まる( 2P )という。純粋性をめざす点、も少し大きな構想論で文学 ...

... 文学における無常感についていささか触れてこれを終わりたい。無常感はその詠歎的な哀感のゆえに文学がもっとも好んで素材としてきたものである。とくに愛欲と名利を捨てて世を逃れる風が強くなった平安中期以降、仏教文学の中心を占めたといっても過言 ...

... 無常感の文学』と、唐木順三の『無常」である。小林氏はその冒頭、序説的に無常を三大別した。第一類は「万物は変移し流転するという思想」である。氏はその中に、仏教以前の「人間本来の性情に由来する」哀感と ... 無常感の文学』弘文堂、一九五九年。 5.

無常感の考察(小林)文学が地上の人間の形象化を本質とするものであり、無常感は又そういう人間性そのものの超克止揚をめざす ... 無常感の考.