内容説明
男性中心の労働環境のため女性が活躍しづらく、少子化が深刻な日本。仕事と家族のあり方は限界にきている。一方、「大きな政府」を代表するスウェーデンと「小さな政府」を代表するアメリカは正反対の国と思われがちだが、実は働く女性が多く、出生率も高いという点で共通している。それはなぜか。歴史的な視点と国際比較を通じて日本の現在地を示し、目指すべき社会を考える。この国で働き、家族と暮らす全ての人へ。
目次
第1章 日本は今どこにいるか?
第2章 なぜ出生率は低下したのか?
第3章 女性の社会進出と「日本的な働き方」
第4章 お手本になる国はあるのか?
第5章 家族と格差のやっかいな関係
終章 社会的分断を超えて
著者等紹介
筒井淳也[ツツイジュンヤ]
1970年、福岡県生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、立命館大学産業社会学部教授。専門は家族社会学・計量社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
46
ケアワークを低い価格に抑え、共働き家庭が育児をしやすくすることで少子化を改善できるといいと思った。これはこれで、まだまだ解決されるべき問題は山積みだろうけれど・・・。2015/07/23
きいち
40
とても納得感高く、そしておもしろかった。感情や価値観が持ち込まれがちな女性の雇用者化や少子化の問題を、長期視点と国際比較で落ち着いて解きほぐす。「家族が担ってきた機能を(政府にしろ市場にしろ)その外部が担うことは、家族の負担軽減につながる」、だから性別分業を克服し共働き社会への移行でカップル形成と出産が起こりやすくなる。うむ。◇家事分担へのビジネス観点もいい。短期間では戦力にならない、そうだよな。◇一番解きほぐしにくいのは「同類婚による格差拡大」か。でもそうなるよな。いかに自然に所得移転するか、難しいな。2018/01/27
ヒデミン@もも
27
共働き家庭で問題になる家事の分担。家事サービスの質に対する希望水準が一致しないとき。一人暮らしで家事の希望水準が下がってしまった夫が提供する質の低い家事サービスに妻が苛立つ。作者が男性ならではの発想。女性だからって生まれながらに家事ができるわけではない。大きな政府スウェーデンで就労女性の半分以上が公務員。その7割がケアワーカー。日本も見習って欲しい。2015/06/19
あおい
25
課題のための本、こちらがラスト。これが一番参考になった。全体的に読み込んだわけではなく飛ばしながらだったが、データを客観的に読み取っているし、論旨もわかりやすい。他国と比べているのもよかった。2018/09/02
ゆう。
24
日本において女性が活躍し、どうすれば少子高齢化社会に向き合えるのかを考えることのできる本だと思います。著者は「共働き社会」を目指す必要性を述べています。アメリカは市場化されたなかで女性労働力が活用され、北欧は公的な積極的労働市場で女性が活躍しており、「小さな政府」か「大きな政府」かの選択は意味がないとしています。個人的にはアメリカ・北欧・日本の労働市場をより深く分析する必要性は感じました。しかし、著者の指摘する「共働き社会」への移行は、とても重要な視点だと思います。データが豊富で勉強になった本でした。2015/07/26