青年ルター〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 192,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622039723
  • NDC分類 198.385
  • Cコード C1011

出版社内容情報

Young Man Luther
A Study in Psychoanalysis and History
by Erik H. Erikson
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北方キリスト教界の偉大な改革者、マルチン・ルター。彼は若き日に、さまざまな神経症的苦悩や父親コンプレックスと格闘し、アイデンティティの混乱に苦しんだ。その姿は、数世紀のあいだ提示されてきた、つねに強健で雄弁な、生産性にあふれたルター像とは、なじみにくい。ルターの青年期の危機は、その後、いかにして稀有な才能の開花へと結びついていったのだろうか。

第1巻では、父の希望のままに大学にすすみ、優等で卒業したばかりのルターが、ただ一度の落雷によって、過去と予想された未来を断ち切り、修道士になる誓願をたてたこと、そして、過去にさまざまな解釈が試みられてきた「聖歌隊での発作」によって、聖堂の床に倒れふしてしまうまでをみてゆく。

これらの出来事は、真正の宗教経験だったのか? それとも精神医学的な症例の重要な兆候なのか? 鉱夫たちの迷信世界のなかに生まれ、魔術的世界観に浸かって過ごした幼年期、学校と大学、母親の意味、そして父親の意味… ルターを通して、青年の自我に内在する回復力を論じる、全2冊。
第2巻:続刊

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Erik H. Erikson(エリク・H・エリクソン)
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M・ミード、G・ベイトソン、R・ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946-50年にかけ『幼児期と社会 1・2』(みすず書房、1977、1980))を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950-60年、オースチン・リッグズ・センターの主任医師として活躍した。1958年、本書『青年ルター』によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960-70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問。1994年歿。主著はほかに『洞察と責任』(1964、誠信書房、1971)、『アイデンティティ――青年と危機』(1968、金沢文庫、1973)、『ガンディーの真理』(1969、 みすず書房、1973-74)、『歴史のなかのアイデンティティ』(1974、みすず書房、1979)、『ライフサイクル、その完結』(1982、みすず書房、1989)、『老年期』(1986、みすず書房、1990)などがある。

西平直(にしひら・ただし)訳
1957年、甲府市生まれ。信州大学卒。東京都立大学大学院を経て、東京大学大学院博士課程修了。現在 東京大学教育学研究科助教授。著書『エリクソンの人間学』(東京大学出版会、1993年)、『魂のライフサイクル』(東京大学出版会、1997年)、『魂のアイデンティティ 』(金子書房、1998年)、『シュタイナー入門』(講談社現代新書、1999年)、共編『宗教心理の探求』(東京大学出版会、2001年)。共監訳『エリクソンの生涯』(新曜社、近刊)。
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関連書:
E・H・エリクソン『ライフサイクル、その完結(増補版)』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 1』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 2』
E・H・エリクソン/J・M・エリクソン/H・Q・キヴニック『老年期』
E・H・エリクソン『玩具と理性』




内容説明

内に秘めた創造性をのちにみごとに花開かせたルターにとって、青年期はいかなる意味を持ったのか?ルターを通じて青年の自我に内在する回復力を論じる。

目次

第1章 症例と事件―研究の方法論(サイコヒストリーの方法論―臨床的方法とその拡大;方法としての精神分析 ほか)
第2章 聖歌隊での発作―発作というひとつの事件をめぐる多様な解釈(修道士マルチンの発作―その多様な解釈;四つの異なるルター像―先行研究の検討 ほか)
第3章 服従 しかし誰に―幼年期・学校・修道院に入るまで(幼年期;学校と大学 ほか)
第4章 すべてか無か―理論的な中間考察(アイデンティティの混乱という視点;アドルフ・ヒトラーの青年時代―すべてか無か ほか)

著者等紹介

エリクソン,E.H.[エリクソン,E.H.][Erikson,Erik H.]
1902‐1994。ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M・ミード、G・ベイトソン、R・ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946‐50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950‐60年、オースチン・リッグズ・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960‐70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問

西平直[ニシヒラタダシ]
1957年、甲府市生まれ。信州大学卒。東京都立大学大学院を経て、東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学教育学研究科助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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さえきかずひこ

12
宗教改革者としてあまりにも有名なルターの青年期に焦点を絞り、16世紀に生きたひとりの青年=マルチンの精神の危機の原因をフロイト主義的精神分析によって読み解いていく、大変興味深い本。精神分析について不信を抱く読者も、本書の物語としての面白さには抗えないのではないか。あまりにもエディプス・コンプレックスの典型に見なされてしまうルター像について、筆者は同時に母親との関係などにも公平に目を向けるべきと指摘しており、精神科医としての良心が感じられる点は記しておきたい。2018/04/21

roughfractus02

7
マッカーシズムの最中、イデオロギー形成を精神分析的に扱おうとする著者は、ライフサイクル理論を歴史に援用し、アイデンティティーとイデオロギーの関係が露わになる「青年期の危機」をその分析対象に選ぶ。厳格な鉱夫の父の期待を振り切り修道院に入るルターは激しい落雷の経験以来、その後の人生を左右するパニックに陥る(神の啓示と畏れる)。本書はルターの青年期に、実父と天なる父に対するエディプス・コンプレックスを見出し、自己イメージと社会的自己の間の危機とイデオロギー(無意識に形成される世界観)が果たす精神的機能を探る。2021/11/15

zikisuzuki

2
マルチン・ルターについて知りたいと思い読んだ。 どれだけ強迫観念に囚われた少年期だった事か。精神分析からルターの心の在り方が説明される。様々な抑圧と戦うしかなく凄く激烈な性格になってしまったのだねぇ。2019/10/04

てれまこし

2
近代的自我に形成において宗教改革の重要性が指摘されてきているが、近代的な意味での煩悶とそれに対する解決に近いものがすでにルターにおいて見られるとは思わなかった。勿論、現代の若者は神様をルターのようには恐れない。だが、「社会」というものが神に代わって裁判官の役割を果すようになっている。で、神様と違って自然化・物象化された社会は非人格的な存在であり、いくら祈り訴えても応えてくれはしない。子供たちは堕落による破滅について常に警告を受け続ける。勉強にしろ労働にしろ避けられない苦行としてしか受け止めることができない2019/09/07

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