内容説明
十九世紀後半、壮大なワーグナーの音楽に取り憑かれ、絢爛豪華な城の建築に情熱を傾けたバイエルン王ルートヴィヒ二世。オーストリア皇妃を慕いつつ美しい青年の肉体に惑い、夢幻の王国の住人になっていった美貌の王の劇的生涯とその謎に満ちた最期を描く。
目次
メルヘンの王子
后なき王
鳩と鷲
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco.
7
独王“ルートヴィヒ二世”の生涯を本国歴史家が追った翻訳本。“狂王”と称される王は果たして本当に狂王だったのか?と真実へ差し迫るドキュメント風小説。陰謀論好きには堪らない。そうであって欲しい筆者の願いが見え隠れする所もあるが、謎が謎を呼ぶ国王に惹きつけられる人は後を絶たない。文庫で千円代を越すのに驚愕していたが、写真数は豊富。若い頃は中年期とは別人のように容姿端麗な王様。翻訳も読みやすく自然で配慮の効いた日本語訳。資料価値も高い。この一冊ほど、ルートヴィヒ二世に心を砕いた本は出版されて無いかもしれない。2013/10/21
浮舟りつ
1
ノイシュバンシュタイン城に行くので読み始めた本。国王でなくお気楽な貴族の身であれば、称賛される人生を歩んだのかもしれない。国の経済を困窮させた王の行いが、今ではドイツの重要な観光資源になっているのは皮肉。ある意味、先見の明があったとも言えるのか?? ノイシュバンシュタイン城に自分も実際に入ってみて、この城内で孤独にひきこもり、政府に囚われたのかと思うと悲しみに襲われた。2014/12/07
テツ
1
喧騒渦巻く現実から逃避して幼年期から魅了されてきた夢と幻想の世界にのみ喜びを見出したバイエルン国王ルートヴィヒ。彼には、憧れとともにそれを実際に実現してしまった時の悲劇に哀れさを感じる。本書では伝記として事実と作者の憶測が淡々と語られるが、ルートヴィヒ二世を捕らえて放さなかった伝説やワーグナーの個々の作品、そして晩年情熱を注いだ築城についての説明がもっと欲しかった。2009/04/18
Minno
0
ルートヴィヒの気持ちよくわかる! でも弱くちゃだめなんだよね。 王様だろうと、そうでなかろうと。2014/08/12
massda
0
外交では問題をうまくかわして自治を維持し、内政では土木工事で民衆に仕事を与えると共に、少なくとも150年にわたる観光資源をかくほ。音楽家への投資で全人類の福祉に貢献。と、王さまとしての業績は優れているのに、本人としては全く幸せじゃないのが悲しい。2014/05/22