内容説明
十九世紀末、「文明の使命」の名のもとに繰り広げられたヨーロッパ列強による分割競争。運河の開削や鉄道の建設により開始された植民地化はアフリカ諸王国の抵抗を武力で圧倒し、大陸各地で進められた。土地の収奪や理不尽な徴税に対する抵抗運動やマフディーやチレンブエなどの宗教結社による抵抗運動はやがて、脱植民地化をめざすパン・アフリカ運動にいたり、二十世紀後半のアフリカ諸国の独立へと結実する。アフリカの植民地化と人々の抵抗のプロセスをたどる。
目次
「文明の使命」と「未開・野蛮な」黒人たち
1 運河・鉄道建設と抵抗運動
2 王国の植民地化
3 徴税・土地収奪と抵抗運動
4 宗教結社と抵抗運動
著者等紹介
岡倉登志[オカクラタカシ]
1945年生まれ。明治大学文学部史学地理学科卒業。明治大学大学院政治経済研究科博士課程単位取得退学。専攻、アフリカ史、帝国主義時代。現在、大東文化大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ピオリーヌ
2
この世界史リブレットというシリーズ。今夏、ユリアヌスの巻を読んだが、それと同一である。百頁足らずのボリュームに、大きい文字、豊富な写真が用いられるなど読み易さ重視でありながら、研究者が執筆しているというオススメの出来。今回のテーマは「アフリカの植民地化と抵抗運動」私のこの時代の知識は高校世界史レベルしか無いので、あるゆる出来事を新鮮に感じられ大いに勉強になった。中でもマダガスカル島の歴史がいい。2018/12/12
しゃる
1
民衆蜂起、宗教結社、首長交渉……アフリカ諸国において様々な形態をとった抵抗運動について、大量の固有名詞と注釈を用いながら紹介している。カバー地域が幅広く内容が連続的に詰め込まれているため、ついていくには植民地の支配や搾取の構造及び歴史についてある程度の前提知識が必要と思われる。民衆について深掘りしきるのはページとリファレンスの都合で難しいだろうとはいえ、各為政者や指導者の評価に依らず記してくれているのは読者の個人的な深掘りの導入になるかもしれない。2024/04/15
鍵窪錠太郎
0
アフリカの近現代史の前提が無い状態では読むべきでは無かったかも知れない。占領者が占領者にとって有利なインフラ整備をしたり、税金や貿易での不平等と言った金に関する事柄が暴動の原因で有ったり、反対運動の指導者が現代での精神的支柱や英雄視されているなど。「新書アフリカ史 (講談社現代新書)」でも読んでからリベンジするべきか。2017/05/28
MIRACLE
0
西欧諸国のアフリカ分割に対する、アフリカ側の抵抗運動について、人名、地名、年代を羅列した冊子。冒頭で、植民地化を「ある国が本国以外の海外領土を経済的に収奪し、政治的・社会的に従属させること」と定義しているのだから、その図式をもとに、抵抗にかんする情報をまとめてほしかった。ゴードンが戦死でなく、暗殺された、という記述は初見。2013/11/04