内容説明
文学の一ジャンル「エッセイ」は、モンテーニュが一五八〇年に著した『エセー』に始まる。三八歳で官を辞し、引きこもった自邸の読書室から生みだされたこの本は、十六世紀フランスの社会変動と戦乱を背景に、司法官、市長として直接得た体験と古今の書物の知識から織りあげられている。そこには人間の生きる意味についての模索、「エセー」が実践され、現代の問題群を前にする読者に新たな生きる糧を与えてくれる。
目次
1 『エセー』という本
2 「読書室」のなかで
3 テクストを編む
4 孤独と憂うつ
5 自分を描くとは
6 探索のスタイル
7 表現のいろいろ
8 相手と仲間と
9 晴れやかな知
10 信仰の名のもとに
11 生活と生存の条件群
12 ひろがる地平線