中公新書<br> 酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化

中公新書
酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121010810
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C1221

内容説明

酒呑童子の説話には、日本人に内在する、天皇や国家が成す秩序の攪乱者への脅威や排除の心理を読み取ることができる。この異形の童子の正体とはなにか。紅毛人説、山賊説、鉱山師および鉱山労働者説などの諸説をさまざまな角度から検証するなかで、著者は、疫病を流行らせる神(鬼)である疱瘡神にその原像を見出す。酒呑童子説話の考察をとおして、中世社会の内と外、中心と周縁、境界や排除などにかかわる諸問題に鋭くせまる。

目次

第1章 酒呑童子の原像―京都と四角四堺祭
第2章 酒呑童子のふるさと―中国の小説・伝説に探る
第3章 竜宮城の酒呑童子
第4章 二つの大江山・三つの鬼退治―酒呑童子説話と聖徳太子信仰
第5章 伊吹山の酒呑童子
第6章 酒呑童子説話の成立

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

7
「鬼が城への道で最初に出会う老婆が、頼光一行に「是へおはしつる道には、岩穴の…」と語りかけ」る。「地獄に通じる川としての三途の川が、日本に知られるようになったのは、平安中期だとされているが、それを述べる『地蔵菩薩発心因縁十王経』に、三途の川には奪衣婆と懸衣翁という男女の老鬼がいて、奪衣婆は亡者の衣をはぎ、懸衣翁は衣を木の枝にかけるとある。日蓮著の『十王賛嘆鈔』では、奪衣婆にあたる鬼は懸衣嫗と呼ばれ、はぎ取った衣服を樹上の懸衣翁に渡すと見え、この場面の老婆が懸衣嫗、川が三途の川を念頭に置いている」2020/07/13

二笑亭

6
酒呑童子の原像を疫病=疱瘡に見出し、説話成立を追う一冊。疫病神のイメージをベースに、竜宮信仰をはじめとした異界観、中国から輸入された小説、さらには聖徳太子伝説が重なっていく。複雑怪奇に出来上がった説話を様々な要素を以て解き明かすので、知識の釣瓶打ちにあうが、それそれは楽しい読書。たしかに川の洗濯媼は言われてみれば奪衣婆のイメージに重なるなと納得。2023/01/17

アメヲトコ

4
酒呑童子の説話分析。国内外の様々な説話が少しずつ変形されながら絡み合うさまは興味深いですが、推論に推論を重ねていくような論述は読んでいて本当かなと思うところも随所にあります。それにしても異界とか境界とか排除とかコスモロジーとか、いかにも80年代という感じで遠い目になります。2018/05/04

印度 洋一郎

4
酒呑童子とは何か?と言っても、特定のモデル探しをしているわけではなく、中世から近世にかけて成立したと思われる、「酒呑童子の説話」の起源と変遷を追い、様々なキーワードから迫っていく。怨霊としての鬼の起源、そこに疫病のイメージが被さり、中国から伝来したストーリー性豊かな説話によって脚色されて、今私達が知るような、「大江山酒呑童子」の物語が成立した、というのが著者の推測。このキャラのイメージの根源は、十世紀末の京で起こった疫病大発生の記憶ではないかという。確かに、山賊や外国人説だけでは説明しきれないことが多い。2014/03/22

wei xian tiang

2
さりげなく角川源義の論文が引かれていることに、氏の偉大さ、多能さを再認識。なんであんなんなっちゃったのか。2014/11/19

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