感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかこ
48
グリーフの勉強会で「悲哀とメランコリー(1916年)」の日本語訳を読んだが難解だった。この本は、小此木先生がフロイトの「悲哀の仕事」細かく丁寧に解説してくれているけれど、やっぱり難しい。それでもアウシュビッツやアイヌ、軍隊、戦争などでの対象喪失反応や、登場する人物像など理解は深まる。悲哀の仕事の分析、フロイト自身の夢分析などが興味深い。その後、グリーフの理論はたくさん出てくるけれど、悲哀が学問として理解されていく礎である。今は難しいと感じるが、定期的に読んで理解を深めたい。図書館で借りたけれど、後で買う。2024/05/27
テツ
34
両親、祖父母、友人、恋人。愛していた存在を無くし(失くし、亡くし、喪くし)たときの哀しみについて。愛し、様々な形で依存していた対象が消え失せたときに、しっかりと悲しみしっかりと自分が納得するように『喪に服す』ことの大切さがぼんやりと掴めた気がします。依存すること自体は悪いことじゃないし、それを恐れていたら人間は他の人間と関係を持てない。いつか対象喪失することはあたりまえのことなんだと理解し、そのときにしっかりと悲しむ準備をしながら依存し愛するしか人間がまともに存在する術はないのですきっと。2019/01/08
ヒダン
16
死別、失恋、受験失敗など自分の心を大きく占める対象を喪失した時にどのような変化が起きるか、どのように立ち直るか、あるいはどうやって対象喪失から目を逸らそうとするかをフロイトをベースに考察する。読みながら自分の喪失体験を反芻して胸が締め付けられるような思いを味わった。論説文なのに感情を動かされる不思議な本だった。立ち直るプロセス「悲哀の仕事」を完遂しないと精神の調和を損なうことになる。葬式、喪などの儀式や宗教が「悲哀の仕事」のアシストをしていたという分析に納得したし、論全体に対する正しさを直観した。2015/07/27
豆ぽち
15
失った対象に対する思慕の情は永久に残り、この対象と二度と会うことのできないこの苦痛は依然として苦痛として残るであろう。しかしそれをどうすることもできないのが人間の限界であり、人間の現実である。大切なことは、悲しみや思慕の情を、自然な心によって、いつも体験し悲しむことのできる能力を身につけることである。/心の健康とは、憎しみ、悲しみ、不安、罪意識の無い、幸せと満足がいっぱいの快適なだけの世界のことではない。むしろ悲しみを悲しみ、怒りを怒り、恐れを恐れとして感じることのできる世界のことである。2013/04/24
ステビア
13
実際に対象喪失を経験した/している人が読むとどう思うのかな。メッセージとしては自然に悲しみなさい、と言うことだと思う。2014/04/14