感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryoichi Ito
6
著者サー・アーサー・ヘンリー・ヒュー・コータッツィ( 1924 - 2018)はイギリスの元外交官。1980年から1984年まで駐日英国大使を務めた。ウィリスが英国の親族に当てた手紙に基づく伝記。「(本書は)近代日本の黎明期における一英国人の内面的体験の物語であると同時に,ウィリスの日本医学史に寄与した業績とさまざまな当時の人物や歴史的事実に新たな光をあてることにもなるだろう」(まえがきから) 2023/08/23
印度 洋一郎
3
幕末から明治初期にかけて、日本に滞在していたイギリス人医師ウィリスが祖国の兄に送った膨大な書簡を中心に、勤務していた駐日公使館へ提出した報告書、同僚や関係者の記録などで補強した内容。薩英戦争には英艦隊に乗り込んで従軍し(報復が不徹底と不満)、戊辰戦争では一転して薩摩軍に従軍して越後を転戦する。医師ということで、戦時に引っ張りだこだったらしい。そのツテで維新後は薩摩に招聘されるという不思議な運命を辿った。随所に「日本人は狡猾な蛮族」という不快感が露呈しているが、攘夷に曝されていたのだから、むべかるかな。2015/11/27